社会福祉法人の設立にあたって、その名称や住所は、定款の記載事項です。
また、社会福祉法人は、事務所の所在地等によって、所轄庁が定まります。
そのため、名称や住所を決めるにあたって、ルールが定められています。
この記事では、そのルールを説明します。
社会福祉法人の名称のルール
社会福祉法人の名称は、定款の記載事項になります。
設立にあたって、所轄庁の審査事項となりますので、名称についてのルールを守り、慎重に決める必要があります。
社会福祉法人の名称を決めるにあたって、東京都では次のとおり指導しています。
①社会福祉法人の公共性から、特定の個人名・会社名をつけることは適当ではないこと。
②すでに認可されている社会福祉法人や、その他の法人制度に基づく法人と同一の名称や、まぎらわしい名称は、適当ではないこと。
※ある名称が、現在使用されているか否かは、事前に東京都に確認することが必要です。
③「○○社会福祉事業団」という名称は、公立施設を受託経営等するための社会福祉事業団に限り認められること。
④法人名と施設名は異なる名称を使用すること。
⑤難解な漢字を使用した名称は好ましくないこと。
社会福祉法人の住所のルール
社会福祉法人の住所は、その「主たる事務所」の所在地のことをいいます。(社会福祉法第28条)
主たる事務所とは、法人の運営や業務について総括的な業務を行う事務所(いわゆる”本部”のような本拠地)のことをいいます。
このほか、「主たる事務所」に対して、その他の事務所(いわゆる”支部”)を「従たる事務所」といいます。
なお、社会福祉法人の事務所は、国民に対して、事業運営の情報を公表する場となります。
そのため、主たる事務所や従たる事務所には、定款や会計帳簿、計算書類、財産目録、役員等の名簿、評議員会や理事会の議事録等を備え置くことが義務付けられています。(社会福祉法第34条の2、第45条の11、第45条の15、第45条の24、第45条の32、第45条の34など)
社会福祉法人の所轄庁
社会福祉法人は、主たる事務所の所在地と、事業を行う区域によって、所轄庁が決まります。(社会福祉法第30条、同法施行規則第1条の4)
特別区の区長や市長が所轄庁になる場合
主たる事務所が、特別区や市の区域内にある社会福祉法人であって、事業(第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業、公益事業、収益事業等)を行う区域が、その区市の区域を越えない場合
都道府県知事が所轄庁になる場合
主たる事務所が、都道府県の区域内にある社会福祉法人であって、事業を行う区域が、その都道府県内の複数の地方公共団体の区域にまたがる場合
厚生労働大臣が所轄庁になる場合
事業を行う区域が、2以上の地方厚生局にまたがり、その事業が次の①から④に該当する場合
① 全国を単位として行う事業
② 地域を限定しないで行う事業
③ 法令の規定に基づき指定を受けて行う事業
④ ①から③に類する事業
社会福祉法人は自主的に経営基盤の強化を図ることが求められています。
また、税制上の優遇措置や、補助金等の公費が投入される公益性の極めて高い法人であることから、経営の透明性を確保することが求められています。
これらのことから、所轄庁は、社会福祉法人に対する指導監査を、評議員会・理事会の開催状況や、予算・決算、財産の状況の確認などを中心に、社会福祉法第58条を踏まえた運営指導と連携しながら、社会福祉法第56条に基づいて行っています。
まとめ
社会福祉法人の名称や住所は、定款の記載事項であり、それらを決めるにあたって、ルールが定められています。
〇名称について
①特定の個人名・会社名をつけることは、適当ではないこと。
②他の法人と同じ名称や、まぎらわしい名称は、適当ではないこと。
③法人名と施設名は異なる名称を使用すること。
④難解な漢字を使用した名称は好ましくないこと。
〇住所について
法人の住所は、「主たる事務所」の所在地のことをいいます。
主たる事務所とは、法人の運営業務を総括する事務所(いわゆる”本部”)のことをいいます。
このほか、その他の事務所(いわゆる”支部”)を「従たる事務所」といいます。
事務所は、情報公開の場つぉいて、定款や計算書類、議事録等を備え置くことが義務付けられています。
〇所轄庁の区分
・区市長が所轄庁
主たる事務所が、特別区や市の区域内にあり、事業を行う区域が、その区市の区域を越えない場合
・都道府県知事が所轄庁
主たる事務所が、都道府県の区域内にあり、事業を行う区域が、その都道府県内の複数の地方公共団体の区域にまたがる場合
・厚生労働大臣が所轄庁
事業を行う区域が、2以上の地方厚生局にまたがり、その事業が次の①から④に該当する場合
① 全国を単位として行う事業
② 地域を限定しないで行う事業
③ 法令の規定に基づき指定を受けて行う事業
④ ①から③に類する事業