ご相談は 090-7980-8123 へお電話ください。

社会福祉法人の定款とは

社会福祉事業

社会福祉法人は、設立時に、定款を定める必要があります。

定款とは、法人の運営に関する基本的なルールを定めたもので、法人の内部統制の根本をなすものです。

また、情報公開の対象ともなっており、内外において、法人のあり方を示す根拠となるものです。

このとおり、定款は、法人運営に重要な影響を与えるものです。

よって、定款は、法人の設立申請時に、所轄庁の認可を受けなければ、効力が発生しません。

定款の記載事項

社会福祉法人の定款の記載事項には、①必要的記載事項、②相対的記載事項、③任意的記載事項があります。

社会福祉法人の定款は、厚生労働省が定款例を作成しています。
所轄庁は、定款例に基づいた定款の作成を推奨しています。

必要的記載事項

必要的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項のことです。

社会福祉法第31条第1項各号に掲げる事項等が該当します。

社会福祉法人は、その特性を考慮し、民法の公益法人よりも必要的記載事項の範囲が詳細にわたっています。

社会福祉法

(申請)
第三十一条 社会福祉法人を設立しようとする者は、定款をもつて少なくとも次に掲げる事項を定め、厚生労働省令で定める手続に従い、当該定款について所轄庁の認可を受けなければならない。
一 目的
二 名称
三 社会福祉事業の種類
四 事務所の所在地
五 評議員及び評議員会に関する事項
六 役員(理事及び監事をいう。以下この条、次節第二款、第六章第八節、第九章及び第十章において同じ。)の定数その他役員に関する事項
七 理事会に関する事項
八 会計監査人を置く場合には、これに関する事項
九 資産に関する事項
十 会計に関する事項
十一 公益事業を行う場合には、その種類
十二 収益事業を行う場合には、その種類
十三 解散に関する事項
十四 定款の変更に関する事項
十五 公告の方法
(以下略)

これらの事項の全てを定款に記載する必要があり、ひとつでも記載が欠けると、その定款は無効です。

相対的記載事項

相対的記載事項とは、必要的記載事項と異なり、記載がなくても定款の効力に影響はありませんが、定款に定めがなければ効力を生じない事項のことです。

相対的記載事項は、社会福祉法の中に、”定款で定めることができる”というような書き方がされています。例を挙げると、次のとおりです。

社会福祉法
(機関の設置)
第三十六条 (略)
2 社会福祉法人は、定款の定めによつて、会計監査人を置くことができる。

(役員の任期)
第四十五条 役員の任期は、選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし、定款によつて、その任期を短縮することを妨げない。

(理事会の運営)
第四十五条の十四 理事会は、各理事が招集する。ただし、理事会を招集する理事を定款又は理事会で定めたときは、その理事が招集する。

(理事の職務及び権限等)
第四十五条の十六 (略)
2 次に掲げる理事は、社会福祉法人の業務を執行する。
一 理事長
二 理事長以外の理事であつて、理事会の決議によつて社会福祉法人の業務を執行する理事として選定されたもの
3 前項各号に掲げる理事は、三月に一回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。ただし、定款で毎会計年度に四月を超える間隔で二回以上その報告をしなければならない旨を定めた場合は、この限りでない。

(理事会の運営)
第四十五条の十四 (略)
9 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十四条の規定は理事会の招集について、同法第九十六条の規定は理事会の決議について、同法第九十八条の規定は理事会への報告について、それぞれ準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
(理事会の決議の省略)
第九十六条 理事会設置一般社団法人は、理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監事が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

任意的記載事項

任意的記載事項とは、法令に違反しない範囲で、任意に記載することができる事項のことです。

例えば、定時以外の評議員会の開催や、理事会の開催頻度などを定めることがあります。

まとめ

この記事のまとめ

社会福祉法人は、設立時に、定款を定める必要があります。

社会福祉法人の定款の記載事項には、①必要的記載事項、②相対的記載事項、③任意的記載事項があります。

①必要的記載事項
定款に必ず定める必要がある事項で、定めがないと、定款が無効になります。
社会福祉法第31条第1項に列挙されています。

②相対的記載事項
必ずしも定款に定める必要はありませんが、定款に定めなければ、無効になる事項です。
社会福祉法などに”定款で定めることができる”といった記載があります。
(例)
会計監査人の設置、役員の任期、理事会の招集、理事長等の報告義務、決議の省略など

③任意的記載事項
必ずしも定款に定める必要はありませんが、法律に違反しない範囲で、任意に記載できる事項のことです。
(例)
定時以外の評議員会の開催や、理事会の開催頻度など

この記事を書いた人
行政書士上田

法務省、内閣官房、復興庁での勤務を経て、行政書士・社会福祉士として開業。 14年間、公務員として福祉分野などに関わってきた経験を生かして、許認可申請と生活相談を専門とした行政書士・社会福祉士として、お客様の事業や生活を支援しています。

行政書士上田をフォローする
社会福祉事業
この記事はSNSでシェアできます。
行政書士上田事務所