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社会福祉法人の「決議の省略(みなし決議)」とは

社会福祉事業

「決議の省略(みなし決議)」とは、評議員会や理事会の決議事項について、評議員や理事の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときに、評議員会や理事会の決議があったものとみなす方式をいいます。

決議の省略は、評議員会や理事会の開催を省略できることがあるので、会運営の効率化に資するものとして、活用されることがあります。

評議員会の「決議の省略(みなし決議)」

決議の省略は、そもそも一般社団法人等に認められる方式ですが、社会福祉法に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の準用規定があります。

評議員会の決議の省略については、次のとおり定めがあります。

社会福祉法

(評議員会の運営)
第四十五条の九 (略)
10 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百八十一条から第百八十三条まで及び第百九十二条の規定は評議員会の招集について、同法第百九十四条の規定は評議員会の決議について、同法第百九十五条の規定は評議員会への報告について、それぞれ準用する。この場合において、同法第百八十一条第一項第三号及び第百九十四条第三項第二号中「法務省令」とあるのは、「厚生労働省令」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
(評議員会の決議の省略)
第百九十四条 理事が評議員会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき評議員(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の評議員会の決議があったものとみなす。
(以下略)

評議員会の決議の省略については、厚生労働省作成による「社会福祉法人定款例」には、次のように記載されています。

第1項及び第2項の規定にかかわらず、評議員(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、評議員会の決議があったものとみなす。

理事会の「決議の省略(みなし決議)」

理事会の決議の省略については、次のとおり定めがあります。

社会福祉法
(理事会の運営)
第四十五条の十四(略)
9 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十四条の規定は理事会の招集について、同法第九十六条の規定は理事会の決議について、同法第九十八条の規定は理事会への報告について、それぞれ準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
(理事会の決議の省略)
第九十六条 理事会設置一般社団法人は、理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監事が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

理事会の決議の省略においては、提案内容に監事が異議をとどめた場合には、その提案内容を決議事項として、理事会を開催することとなります。

また、理事会において、理事長や業務執行理事が、所定の期間ごとの職務執行報告を行う場合は、決議の省略はできません。

理事会の決議の省略は、それを用いる場合、定款への記載が必要です。

厚生労働省作成による「社会福祉法人定款例」によれば、次のように記載されています。

前項の規定にかかわらず、理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監事が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、理事会の決議があったものとみなす。

決議の省略の運用

決議の省略は、それを用いる場合、定款で定める必要があります。

決議の省略について、提案内容の制限はありません。どのような内容でも提案できます。

ただし、本来的に、社会福祉法人の運営は、その公益性や中立性を担保するために、評議員や理事会において、構成員による議論を尽くしてなされることが望ましいものとされています。

よって、提案内容は、法人運営に大きな影響を及ぼさない定款の一部変更など、構成員の全員が同意できるような、軽微な内容の提案にとどめることが望ましいものと思われます。

まとめ

この記事のまとめ

「決議の省略(みなし決議)」とは、評議員会や理事会の決議事項について、評議員や理事の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときに、評議員会や理事会の決議があったものとみなす方式をいいます。

決議の省略は、それを用いる場合、定款への記載が必要です。

理事会の決議の省略においては、提案内容に監事が異議をとどめた場合には、理事会を開催することとなります。

また、理事会において、理事長や業務執行理事が、所定の期間ごとの職務執行報告を行う場合は、決議の省略はできません。

決議の省略は、評議員会や理事会での議論の必要性が少ない、構成員の全員が同意できるような、軽微な内容の提案にとどめることが望ましいものと思われます。

この記事を書いた人
行政書士上田

法務省、内閣官房、復興庁での勤務を経て、行政書士・社会福祉士として開業。 14年間、公務員として福祉分野などに関わってきた経験を生かして、許認可申請と生活相談を専門とした行政書士・社会福祉士として、お客様の事業や生活を支援しています。

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