居宅介護(ホームヘルプ)とは、障害者の方が、その自宅で、ホームヘルパーによる、入浴、排せつ、食事の介護等の提供を受けるサービスのことです。「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下「障害者総合支援法」)に基づく、障害者の生活を支援するための障害福祉サービスのひとつです。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」)に基づく居宅介護(ホームヘルプ)について、これから開業を考える方のために説明します。
障害者総合支援法に基づく居宅介護(ホームヘルプ)を開業するには、居宅介護の事業所が所在する都道府県等から指定を受ける必要があります。
ここにいう「指定」とは、障害者総合支援法に基づく居宅介護事業者として、障害者の方に、居宅介護のサービスを提供することを認められることをいいます。
(指定障害福祉サービス事業者の指定)
第三十六条 第二十九条第一項の指定障害福祉サービス事業者の指定は、主務省令で定めるところにより、障害福祉サービス事業を行う者の申請により、障害福祉サービスの種類及び障害福祉サービス事業を行う事業所(以下この款において「サービス事業所」という。)ごとに行う。
この指定を受けずに居宅介護事業所を営業した場合、障害者総合支援法に定める居宅介護として認めてもらえず、いわゆる無許可営業にあたり、法的根拠の無いサービスになります。
したがって、行政が認める公的な障害福祉サービスとして、障害者の方が少ない自己負担額でサービスを利用することができません。(もし利用すれば、障害福祉サービスではない、民間事業者の独自のサービスを利用した扱いになりますので、サービス利用料が全額自己負担になることもありえます)
以上のとおり、法律に基づいた居宅介護事業を行うには、都道府県等の指定を受けることが必要になります。
以下、居宅介護事業の内容から、指定申請の手続まで、法令等をもとに、説明します。
弊所では、福祉事業の開業をサポートしております。気兼ねなくご相談ください。
- 居宅介護(ホームヘルプ)とは
- 障害者総合支援法の居宅介護を利用するまでの流れ
- 居宅介護事業の入金タイミング(キャッシュフロー)
- 居宅介護事業者が守るべきルール
- 居宅介護の指定申請
- 欠格事項(該当すると指定を受けられない事項)
- 条例の定めに該当しないとき
- 人員基準を満たさないとき
- 設備基準を満たさないとき
- 申請者が禁固以上の刑に処せられた等
- 申請者が保健・医療・福祉に関する法律に違反して罰金刑に処せられた等
- 申請者が労働に関する法律に違反して罰金刑に処せられた等
- 申請者が指定取消から5年を経過していないとき
- 申請者の密接な関係者が指定取消から5年を経過していないとき
- 申請者が取消処分の前に廃業をしたとき
- 申請者が聴聞の前に廃業をしたとき
- 申請者が「取消処分の前に廃業をした事業者」の役員・管理者だったとき
- 申請者が障害福祉サービスで不正または著しく不当な行為をしたとき
- 申請者が法人で、その役員・管理者が上記の各号の一部に該当するとき
- 申請者が法人でない者で、その管理者が上記の各号の一部に該当するとき
- 欠格事項(該当すると指定を受けられない事項)
- まとめ
居宅介護(ホームヘルプ)とは
居宅介護は、障害者総合支援法に定める障害福祉サービスのひとつで、障害者の方のためのホームヘルパーのサービスのことです。
居宅で生活する障害者の方のために、次のようなお手伝いをします。
・家事(調理や洗濯など)
・介護(食事時、入浴時、排せつ時など)
・生活に関する相談対応など
居宅介護は、生活全般に関わるサービスであり、障害者の方が、居宅で、自立した生活をするための基本的なサービスといえます。
障害者総合支援法には次のように定められています。
第五条 この法律において「障害福祉サービス」とは、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、施設入所支援、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助及び共同生活援助をいい、「障害福祉サービス事業」とは、障害福祉サービス(障害者支援施設、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法(平成十四年法律第百六十七号)第十一条第一号の規定により独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設(以下「のぞみの園」という。)その他主務省令で定める施設において行われる施設障害福祉サービス(施設入所支援及び主務省令で定める障害福祉サービスをいう。以下同じ。)を除く。)を行う事業をいう。
平成十七年法律第百二十三号
2 この法律において「居宅介護」とは、障害者等につき、居宅において入浴、排せつ又は食事の介護その他の主務省令で定める便宜を供与することをいう。
(以下略)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
なお、上記の障害者総合支援法の抜粋のアンダーライン中に「障害者等」とありますが、この法律では「障害者若しくは障害児」のことをいいます。(第2条第1項第1号)
アンダーライン中に「便宜を供与する」とあります。
この「便宜」の意味について、障害者総合支援法の細かい部分を定めたルール(施行規則)に次のとおり定められています。
(法第五条第二項及び第三項に規定する主務省令で定める便宜)
平成十八年厚生労働省令第十九号
第一条の三 法第五条第二項及び第三項に規定する主務省令で定める便宜は、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助とする。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則
以上のとおり、障害者総合支援法に基づく居宅介護は、障害者の方のために、身の回りのお世話をするホームヘルパーのサービスを提供する事業といえるでしょう。
障害者総合支援法に基づく居宅介護を利用するお客様は、障害者の方になります。
障害者の方が、居宅介護事業所のお客様になるまでの、おおまかな流れを次に説明します。
障害者総合支援法の居宅介護を利用するまでの流れ
障害者の方が、障害者総合支援法に基づいて、居宅介護などの障害福祉サービスを利用したいと考えた場合に、どんなサービスでも自由に、いつでも利用を始めることができるわけではありません。
所定の手続きを経て、ご自身の障害に応じた適切なサービスを、計画的に利用することになります。
また、居宅介護などの障害福祉サービスは、利用料がかかることがあります。
障害者の方にとって、そうした利用料の負担は厳しいものがあります。
そこで、障害福祉の分野では、障害者の方にとって、ご自身の障害に応じたサービスを、経済的な金額で、計画的に利用できるよう、制度がつくられています。
自立支援給付(介護給付費)による自己負担額の減免
障害者の方が、障害者総合支援法に基づく居宅介護を利用するときに、ご自分だけで利用料を負担することにならないよう、国・都道府県・市町村がお金を出してくれて、ほとんどを代わりに負担してくれます。
障害者の方が、居宅介護などの障害福祉サービスを受けた場合に、行政が負担してくれるお金のことを「自立支援給付」といいます。なお、自立支援給付の実施者は市町村になります。
(市町村等の責務)
平成十七年法律第百二十三号
第二条 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、この法律の実施に関し、次に掲げる責務を有する。
一 障害者が自ら選択した場所に居住し、又は障害者若しくは障害児(以下「障害者等」という。)が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、当該市町村の区域における障害者等の生活の実態を把握した上で、公共職業安定所その他の職業リハビリテーション(障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第二条第七号に規定する職業リハビリテーションをいう。以下同じ。)の措置を実施する機関、教育機関その他の関係機関との緊密な連携を図りつつ、必要な自立支援給付及び地域生活支援事業を総合的かつ計画的に行うこと。
(以下略)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
この自立支援給付のおかげで、障害者の方の自己負担額が抑えられています(おおむね1割負担)。
所得等に応じた負担上限額もあり、多額の自己負担が生じないように配慮されています。
こうした自己負担額の減免について、医療保険や介護保険の仕組みと似通ったところがありますが、障害福祉サービスは保険制度ではなく、一般財源による制度となっています。(保険料ではなく税金から財源が確保されています)
自立支援給付には、いろいろな種類があり、障害者の方が居宅介護を利用したときに行政が負担してくれるお金のことは「介護給付費」といいます。
(自立支援給付)
平成十七年法律第百二十三号
第六条 自立支援給付は、介護給付費、特例介護給付費、訓練等給付費、特例訓練等給付費、特定障害者特別給付費、特例特定障害者特別給付費、地域相談支援給付費、特例地域相談支援給付費、計画相談支援給付費、特例計画相談支援給付費、自立支援医療費、療養介護医療費、基準該当療養介護医療費、補装具費及び高額障害福祉サービス等給付費の支給とする。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
(介護給付費、特例介護給付費、訓練等給付費及び特例訓練等給付費の支給)
平成十七年法律第百二十三号
第二十八条 介護給付費及び特例介護給付費の支給は、次に掲げる障害福祉サービスに関して次条及び第三十条の規定により支給する給付とする。
一 居宅介護
(以下略)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
なお、上記の条文中に「特例介護給付費」というものもあります。
障害者の方が「緊急その他やむを得ない理由」で居宅介護を利用したときに、支給されることがあるものです。(支給されるかどうかは、ケースバイケースなので、ここでは説明を割愛します)
以上のとおり、居宅介護事業の基本的な収入は「介護給付費」になります。
支給決定と障害福祉サービス受給者証
障害者の方が、居宅介護を利用したときに、介護給付費を出してもらうためには、前もって、市町村から介護給付費を出すことを決定してもらい(これを「支給決定」といいます)、その証として「障害福祉サービス受給者証」を交付してもらう必要があります。
障害者の方は、居宅介護を利用するときに、この「障害福祉サービス受給者証」があることで、原則1割負担で、居宅介護を利用できるようになります。
(介護給付費等の支給決定)
第十九条 介護給付費、特例介護給付費、訓練等給付費又は特例訓練等給付費(以下「介護給付費等」という。)の支給を受けようとする障害者又は障害児の保護者は、市町村の介護給付費等を支給する旨の決定(以下「支給決定」という。)を受けなければならない。
(略)(支給要否決定等)
平成十七年法律第百二十三号
第二十二条(略)
8 市町村は、支給決定を行ったときは、当該支給決定障害者等に対し、主務省令で定めるところにより、支給量その他の主務省令で定める事項を記載した障害福祉サービス受給者証(以下「受給者証」という。)を交付しなければならない。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
つまり、居宅介護を利用するお客様は、この支給決定を受けて、障害福祉サービス受給者証をお持ちの障害者の方ということになるのが原則です。
障害支援区分の認定
支給決定の際には、支給決定を受けた障害者の方に応じた「障害支援区分」が認定されます。
障害支援区分とは、障害者の方のそれぞれの障害等の状態に応じて、必要とされる支援(障害福祉サービス)の度合いを区分したものです。
すべての障害者の方が、同じ種類の障害福祉サービスを受けられるわけではなく、その障害支援区分に応じたサービスを受けることになります。
(定義)
平成十七年法律第百二十三号
第四条 (略)
4 この法律において「障害支援区分」とは、障害者等の障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示すものとして主務省令で定める区分をいう。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
障害支援区分は6段階に分かれています。
区分1、区分2、区分3、区分4、区分5、区分6、の6段階があります。
数字が大きくなるほど、必要とされる支援の度合いが大きくなっていき、利用できる障害福祉サービスの種類が増えていきます。
このほか「非該当」という区分もあり、実務上は、これを含めて7段階に区分することもあります。
非該当は、必要とされる支援の度合いが最も小さく、利用できる障害福祉サービスの種類が少なくなります。
(障害支援区分に関する審査判定基準等)
平成二十六年厚生労働省令第五号
第一条 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「法」という。)第四条第四項の主務省令で定める区分は、第二号から第七号までに掲げる区分とし、(略)
一 非該当 (略)
二 区分一 (略)
三 区分二 (略)
四 区分三 (略)
五 区分四 (略)
六 区分五 (略)
七 区分六 (略)
障害支援区分に係る市町村審査会による審査及び判定の基準等に関する命令
障害者の方は、支給決定後、障害支援区分に応じた障害福祉サービスを利用できるようになります。(支給決定の審査の結果、不支給決定となった場合には、サービスを利用できません)
居宅介護は、区分1から利用できるので、障害支援区分の認定を受けた障害者の方に、幅広く利用されるサービスといえます。
サービス等利用計画の作成
支給決定にあたっては、支給決定を受けようとする障害者の方は、どのような障害福祉サービスを、どのくらい利用するのか、「サービス等利用計画案」を作成して市町村に提出します。
この計画案は、その障害者の方が、ご自分で作ることができるほか、「特定相談支援事業所」という障害福祉サービス事業者に作成してもらうこともできます。(実務上は後者の場合がほとんどです)
支給決定後に、この計画案について、その障害者の方や、特定相談支援事業所、実際にサービスを担当する事業者(居宅介護の事業者)等と、サービスの実施等について打ち合わせが行われます。(この打ち合わせを「サービス担当者会議」といいます)
サービス担当者会議の結果、サービス等利用計画案が、案の段階から実際の計画となり、この計画に基づいた障害福祉サービスの利用が開始されます。
居宅介護の事業者としては、この計画の中にサービス提供事業者として組み込まれることで、お客様である障害者の方に、居宅介護サービスを提供する機会に恵まれますので、普段から計画のとおりに障害福祉サービスを実施できるようサービスの品質を高めるとともに、地域の特定相談支援事業所等と連携をしておくことが大切です。
居宅介護事業の入金タイミング(キャッシュフロー)
以上のとおり、居宅介護のお客様は、原則として、支給決定を受けて障害支援区分の認定を受けた障害者の方になります。
これらの障害者の方の居宅介護の利用料は、原則1割負担になります。
居宅介護事業者は、利用者である障害者の方から、サービス利用料について原則1割を頂き、残りの9割は自立支援給付(介護給付費)として行政から頂くことになります。
こうした居宅介護の収入の仕組みについて、キャッシュフローはどのようなものでしょうか。
障害者の方から頂く1割の入金時期や入金方法は、障害者の方と居宅介護事業者との契約で決めることになります。
当月末締めの翌月払いなどが一般的です。
支払方法は、現金払いや銀行振込が一般的です。
なお、契約書については、障害者の方の保護や、事業者の適切なサービス体制の保持のために、都道府県等の行政がひな型を作っています。
そのひな型に、支払方法等についてルールが定められている場合は、それに従うほうが無難です。
残り9割の介護給付費については、都道府県別に設置されている「国民健康保険団体連合会」(通称「国保連」)という法人が支払いの窓口になっています。
毎月、定められたルールに基づいて、国保連に請求することになります。
国保連からの入金は、翌々月になります。キャッシュフローに注意が必要です。
居宅介護事業者が守るべきルール
居宅介護事業者は、どのようにして事業を行うべきか、守るべきルールの基本方針は、厚生労働省の法令により定められています。
第四条 居宅介護に係る指定障害福祉サービス(以下この章において「指定居宅介護」という。)の事業は、利用者が居宅において自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、当該利用者の身体その他の状況及びその置かれている環境に応じて、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助を適切かつ効果的に行うものでなければならない。
平成十八年厚生労働省令第百七十一号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準
この基本方針をもとに、居宅介護サービスに従事する職員の人員や、居宅介護サービスを実施する事業所の設備等について、法律や条例に定められた基準を満たす必要があります。
これらのルールを守らないと、都道府県等から、居宅介護事業者の指定(営業許可のようなもの)を受けることができません。
また、指定を受けた後も、これらのルールを守り続けることが要求されます。
居宅介護の人員に関する基準
居宅介護事業者は、居宅介護事業所に、次のとおり、職員を配置する必要があります。
① 一定数以上の従業者
② 一定数以上のサービス提供責任者
③ 管理者
居宅介護の「従業者(ホームヘルパー)」
従業者とは、居宅介護のサービスを提供するホームヘルパーのことです。
従業者には、居宅介護という業務の性質上、障害者の特性を理解し、介護の知見・技能を持っていることが求められます。
従って、居宅介護の従業者は、有資格者であることが必要です。
認められる資格は様々ですが、代表的なものとして、次のような資格があります。
① 介護福祉士、看護師、准看護師
② 実務者研修修了者、介護職員基礎研修修了者
③ 居宅介護従業者養成研修(訪問介護員養成研修)1級課程修了者
④ 居宅介護職員初任者研修(介護職員初任者研修)修了者
居宅介護は、事業所ごとに、こうした有資格者について、一定数を配置する必要があります。
(従業者の員数)
平成十八年厚生労働省令第百七十一号
第五条 指定居宅介護の事業を行う者(以下この章、第二百十三条の十二及び第二百十三条の二十第二項において「指定居宅介護事業者」という。)が当該事業を行う事業所(以下この章において「指定居宅介護事業所」という。)ごとに置くべき従業者(指定居宅介護の提供に当たる者としてこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるものをいう。以下この節及び第四節において同じ。)の員数は、常勤換算方法で、二・五以上とする。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準
アンダーライン冒頭の「指定居宅介護」の「指定」とは、都道府県等の指定のことです。
よって、「指定居宅介護」とは、都道府県等に指定された居宅介護、という意味になります。
都道府県等の指定を受けるためには、こうした法令の条文の中で「指定居宅介護」に求めれられている条件を満たす必要があります。
アンダーライン中の「常勤換算方法」とは、その事業所で働く、すべての従業者の勤務時間を、常勤で働く従業者の労働時間に置き換えて考えることをいいます。
(定義)
平成十八年厚生労働省令第百七十一号
第二条 この命令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(略)
十六 常勤換算方法 事業所の従業者の勤務延べ時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいう。
(以下略)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準
従って、「常勤換算方法で2.5以上」とは、例えば、ある事業所の実際の勤務シフトでは、常勤の従業者のほかに、パートタイマーの従業者など短時間の非常勤の労働者が混在していたとしても、それらの従業者の勤務時間を合算して、常勤の従業者が2.5人以上、配置されているとみなしうる人員配置の状態にしなければいけないということです。
その事業所の就業規則で、常勤の従業者が1日8時間勤務と決まっているなら、常勤職員に換算して2.5人以上の勤務時間とは、1日あたり20時間(8時間+8時間+4時間)以上となります。
この1日あたり20時間以上を、従業者全員(常勤・非常勤を問わず)の労働時間を足し合わせて、満たせるようにする人員配置が必要になります。
その事業所の就業規則で、パートタイマー従業者の勤務時間が1日4時間と決まっているなら、パートタイマーだけで20時間以上を満たすためには、1日5人のパートタイマーの配置が必要になります。(パートタイマー1人4時間×5人=20時間=常勤換算で2.5人)
この常勤換算2.5人は、すべての営業日で条件を満たす必要があるので、勤務シフトを作成する際には、常に、常勤換算を意識して作成することが求められます。
なお、常勤換算2.5人以上は、指定を受けるための最低限の人員であり、居宅介護の実務をこなしていく上で、最適の人数であるとは限りません。
従業員が1人でも退職・休職してしまうと、常勤換算2.5人以上を満たせなくなります。
従業員の誰かが休むと、勤務シフトが作れなくなってしまうので、従業員は年次休暇を消化することもできません。
余剰の人員が無いので、勤務シフトに余裕がなく、緊急事態の発生など、イレギュラーな状況に対応できないことが考えられます。
ギリギリの人員で指定を受けようとするのではなく、余裕のある人員配置が求められます。
厚生労働省の通知においても、次のとおり定めています。
1 人員に関する基準
平成18年12月6日 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」
(1) 従業者の員数(基準第5条第1項)
① 適切な員数の職員確保
指定居宅介護事業所における従業者の員数については、常勤換算方法で2.5人以上と定められたが、これについては、職員の支援体制等を考慮した最小限の員数として定められたものであり、各地域におけるサービス利用の状況や利用者の数及び指定居宅介護の事業の業務量を考慮し、適切な員数の職員を確保するものとする。
(略)
居宅介護の「サービス提供責任者」
居宅介護の事業所には「サービス提供責任者」を配置する必要があります。
サービス提供責任者は、その居宅介護の事業所において提供する居宅介護サービスの立案者であり、責任者になります。
また、障害者の方が、居宅介護サービスの利用を申し込んだ際に、サービス実施に向けて、障害者の方や、そのご家族等の関係者、行政の担当者、その他の障害福祉サービス事業者等との調整を行います。
そのほか、従業者(ホームヘルパー)への技術的な指導も行います。
(管理者及びサービス提供責任者の責務)
平成十八年厚生労働省令第百七十一号
第三十条 (略)
3 サービス提供責任者は、第二十六条に規定する業務のほか、指定居宅介護事業所に対する指定居宅介護の利用の申込みに係る調整、従業者に対する技術指導等のサービスの内容の管理等を行うものとする。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準
サービス提供責任者は、有資格者であることが必要です。
認められる資格は様々ですが、代表的なものとして、次のような資格があります。
① 介護福祉士
② 実務者研修修了者、介護職員基礎研修修了者
③ 居宅介護従業者養成研修(訪問介護員養成研修)1級課程修了者
④ 障害者(児)ホームヘルパー養成研修1級課程修了者
⑤ 居宅介護従業者養成研修(訪問介護員養成研修)2級課程修了者で介護等の業務の実務経験3年以上
⑥ 介護保険法の訪問介護事業所・介護予防訪問介護事業所のサービス提供責任者に該当する者
サービス提供責任者の主な職務としては、居宅介護サービスを利用する障害者の方について、その一人一人に、どのような居宅介護サービスを提供することが適切であるのか、計画(これを「居宅介護計画」といいます)を立て、サービスの利用者である障害者の方や、そのご家族などの関係者に説明するという職務があります。
この居宅介護計画は、サービスの実施状況に応じて見直し、変更することもあります。
(居宅介護計画の作成)
平成十八年厚生労働省令第百七十一号
第二十六条 サービス提供責任者(第五条第二項に規定するサービス提供責任者をいう。以下この節において同じ。)は、利用者又は障害児の保護者の日常生活全般の状況及び希望等を踏まえて、具体的なサービスの内容等を記載した居宅介護計画を作成しなければならない。
2 サービス提供責任者は、前項の居宅介護計画を作成した際は、利用者及びその同居の家族にその内容を説明するとともに、当該居宅介護計画を交付しなければならない。
3 サービス提供責任者は、居宅介護計画作成後においても、当該居宅介護計画の実施状況の把握を行い、必要に応じて当該居宅介護計画の変更を行うものとする。
4 第一項及び第二項の規定は、前項に規定する居宅介護計画の変更について準用する。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準
居宅介護事業所の開業にあたっては、サービス提供責任者を、必ず配置することになります。
常勤の専従者で、もっぱら居宅介護事業に従事するものとして、常勤換算方式で1名以上の配置が必要です。
(従業者の員数)
平成十八年厚生労働省令第百七十一号
第五条(略)
2 指定居宅介護事業者は、指定居宅介護事業所ごとに、常勤の従業者であって専ら指定居宅介護の職務に従事するもののうち事業の規模(当該指定居宅介護事業者が重度訪問介護、同行援護又は行動援護に係る指定障害福祉サービス事業者の指定を併せて受け、かつ、指定居宅介護の事業と重度訪問介護、同行援護又は行動援護に係る指定障害福祉サービスの事業とを同一の事業所において一体的に運営している場合にあっては、当該事業所において一体的に運営している指定居宅介護及び重度訪問介護、同行援護又は行動援護に係る指定障害福祉サービスの事業の規模)に応じて一人以上の者をサービス提供責任者としなければならない。この場合において、当該サービス提供責任者の員数については、事業の規模に応じて常勤換算方法によることができる。
3 前項の事業の規模は、前三月の平均値とする。ただし、新規に指定を受ける場合は、前項の事業の規模は推定数とする。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準
アンダーライン中「専ら・・・職務に従事する」との記載があります。
サービス提供責任者について、いわゆる専従を条件としたものですが、どういう勤務状態が専従にあたるのか、上記の基準について、厚生労働省が、より細かいことを定めた通知によれば、次のとおりです。
2 用語の定義(基準第2条)
平成18年12月6日 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」
(略)
(4) 「専ら従事する」「専ら提供に当たる」「専従」
原則として、サービス提供時間帯を通じて指定障害福祉サービス等以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、従業者の指定障害福祉サービス事業所等における勤務時間(療養介護、生活介護及び児童デイサービスについては、サービスの単位ごとの提供時間)をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。
(略)
以上のとおりですので、サービス提供責任者は、居宅介護事業所において、居宅介護事業に専従することが求められます。
見方を変えれば、居宅介護事業所内において、居宅介護事業の範囲内であれば、そのほかの業務に従事することができることになるので、管理者や従業員(ホームヘルパー)を兼職することは可能です。
サービス提供責任者は、小規模な事業所であれば1名の配置で十分ですが、事業規模によって、配置数が増加することがあります。
1 人員に関する基準
(略)
(2) サービス提供責任者(基準第5条第2項)
① 配置の基準
ア(略)
また、サービス提供責任者の配置の基準は、次のいずれかに該当する員数を置くこととする。
a 当該事業所の月間の延べサービス提供時間(事業所における待機時間や移動時間を除く。)が450時間又はその端数を増すごとに1人以上
b 当該事業所の従業者の数が10人又はその端数を増すごとに1人以上したがって、例えば、常勤割合が比較的高いなど、従業者1人当たりのサービス提供時間が多い場合は、月間の延べサービス提供時間が450時間を超えていても、従業者の数が10人以下であれば、bの基準によりサービス提供責任者は1人で足りることとなる。
(例) 常勤職員4人で、そのサービス提供時間が合わせて320時間、非常勤職員が6人で、そのサービス提供時間が合わせて200時間である場合、当該事業所の延べサービス提供時間は520時間となるが、bの基準により、配置すべきサービス提供責任者は1人で足りることとなる。
平成18年12月6日 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」
(以下略)
居宅介護の「管理者」
居宅介護の事業所には「管理者」を配置する必要があります。
管理者は、その居宅介護の事業所において、事業所の責任者として、管理業務を行います。
管理者には、資格要件はありません。
(管理者及びサービス提供責任者の責務)
平成十八年厚生労働省令第百七十一号
第三十条 指定居宅介護事業所の管理者は、当該指定居宅介護事業所の従業者及び業務の管理を一元的に行わなければならない。
2 指定居宅介護事業所の管理者は、当該指定居宅介護事業所の従業者にこの章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うものとする。
(以下略)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準
管理者は、事業所ごとに、専従・常勤として1名の配置が必要です。
(管理者)
平成十八年厚生労働省令第百七十一号
第六条 指定居宅介護事業者は、指定居宅介護事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。ただし、指定居宅介護事業所の管理上支障がない場合は、当該指定居宅介護事業所の他の職務に従事させ、又は同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事させることができるものとする。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準
管理者は、管理業務に支障が無いと認められる場合は、サービス提供責任者や従業者(ホームヘルパー)を兼ねることができます。
また、同一敷地内にある他の事業所や施設の職務を兼ねることもできます。
居宅介護事業だけでなく、ほかの障害福祉サービスなどの事業所の職務を兼ねることができるということです。
どの程度の範囲の業務を兼職できるのかは、ケースバイケースですので、実際に指定を受ける際に、指定者である都道府県等に事前相談が必要です。
参考までに、厚生労働省の通知では、次のとおり定めています。
兼職する事業の内容は問われていませんが、兼職する事業所数が過剰である場合等、一定の制限があります。
1 人員に関する基準
平成18年12月6日 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」
(3) 管理者(基準第6条)
(略)
② 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所又は施設等がある場合に、当該他の事業所又は施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所又は施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される指定障害者支援施設等において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員と兼務する場合などは、管理業務に支障があると考えられる。ただし、指定障害者支援施設等における勤務時間が極めて限られている職員である場合等、個別に判断の上、例外的に認める場合があっても差し支えない。)
居宅介護の設備に関する基準
居宅介護事業者は、居宅介護事業を行うにあたり、事業に必要となる設備・備品を整備する必要があります。
(設備及び備品等)
平成十八年厚生労働省令第百七十一号
第八条 指定居宅介護事業所には、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けるほか、指定居宅介護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。
(以下略)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準
居宅介護に必要とされる設備・備品は次のとおりです。
以下に紹介するのは、厚生労働省が定めたルールです。
地域によっては、都道府県等の条例によって、異なったルールが定められている可能性もあるので、開業地の条例も確認してください。
事務室
居宅介護事業所には、居宅介護事業所内に、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいとされてます。
ここでいう「必要な面積」とは、特段の定めはありませんが、事務室として必要な設備(事務机、椅子、サービスの記録を保管する書棚など)が設置できるスペースが必要になりますので、あまりにも狭い部屋である場合には、指定を受ける都道府県等から何らかの指導があるかもしれません。
なお、ほかの事業の事務室と同じ部屋であっても、その部屋の一部を、間仕切りなどで仕切って、ほかの事業の事務室と明確に区分している場合は、他の事業と同じ部屋の中の事務室でも良いとされています。
さらには、この場合に、間仕切りなどで区分がされていなくても、居宅介護の業務に支障がないときは、居宅介護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるとしています。
これらの判断は、ケースバイケースですので、指定を受ける際には、前もって間取り図などを作成し、指定者である都道府県等の判断を仰いだほうが良いと思います。
受付・相談のスペース
居宅介護事業者は、居宅介護事業所内に、利用申込みの受付・相談等に対応するための適切なスペースを確保する必要があります。
いわゆる、相談スペースや接客スペースなどと呼ばれる部分です。
応接テーブルと椅子などの設置が一般的です。
事務室の一部を区切って相談スペースにするなど、部屋を兼用しても認められるのかどうか、配置次第では認められることもあると思いますので、指定者である都道府県等の判断を仰いだほうが良いと思います。
手指を洗浄するための設備
居宅介護事業者は、手指を洗浄するための設備など、感染症予防に必要な設備を設置することに配慮が求められています。
厚生労働省の通知では、設置が義務とまでは定められていませんが、実務上、従業員(ホームヘルパー)が手を洗う場所は必要だと思われます。
この手指を洗う場所は、洗面所、トイレなどを指しています。
この点、他の事業所・施設等と同一の敷地内にある場合で、居宅介護事業や、同一の敷地内にある他の事業所・施設等の運営に支障がない場合は、設備・備品を共用することができるとされています。
どのような設備・備品等が必要であるかは、都道府県等が条例によって、別途のルールを定めている場合があります。
また、居宅介護事業所を、その他の障害福祉サービス事業(または介護保険法上の訪問介護事業所)と併設する場合には、別途の設備・備品等が必要になる場合もあります。
その他の留意点
ここまでに説明した、事務室や区画、設備・備品等については、居宅介護事業者が所有する必要はなく、貸与を受けているものでも構わないとされています。
なお、居宅介護事業所の開設にあたっては、その事業所の建物や設備が、建築基準法や消防法に適合していることが求められます。
前もって、開設予定地の自治体の建築関係部署に相談するとともに、地域の消防署に相談する必要があります。
居宅介護は、施設内で障害者の方の面倒を見るわけではないので、建築基準法や消防法における取り扱いにおいて、単なる事務所とみなされる場合もあり(そうではない場合もあります)、障害福祉サービスの事業所の中では、比較的に要件が緩やかな方だといえます。(他のサービス事業所を併設している場合などは取り扱いが異なる場合があります)
一般的に、福祉事業は、社会的弱者のお世話をするという事業の性質から、通常の住宅や事務所よりも、建物の構造や消防設備の配置について、規制が厳しくなることがあることを念頭に置いて物件を探索してください。
居宅介護の運営に関する基準
居宅介護事業者は、居宅介護サービスを利用しようとする障害者の方に、前もって、居宅介護事業所の運営ルールや、サービスの契約内容等を説明する義務があります。
(内容及び手続の説明及び同意)
平成十八年厚生労働省令第百七十一号
第九条 指定居宅介護事業者は、支給決定障害者等が指定居宅介護の利用の申込みを行ったときは、当該利用申込者に係る障害の特性に応じた適切な配慮をしつつ、当該利用申込者に対し、第三十一条に規定する運営規程の概要、従業者の勤務体制、その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該指定居宅介護の提供の開始について当該利用申込者の同意を得なければならない。
(以下略)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準
このため、指定を受けるにあたっては、居宅介護事業所の運営規程や、居宅介護サービスの契約書・重要事項説明書を作成する必要があります。
運営規程や、契約書・重要事項説明書は、都道府県等において、ひな型を用意していることが一般的です。このひな形を、たたき台にして、事業所のルールを作成することになります。
居宅介護の指定申請
以上のとおり、居宅介護の指定を受けるための要件を説明してきましたが、居宅介護事業を行うためには、これらの条件を満たした上で、都道府県等に指定の申請をすることになります。
指定は、ひとつひとつの事業所単位で受けることになります。
(指定障害福祉サービス事業者の指定)
平成十七年法律第百二十三号
第三十六条 第二十九条第一項の指定障害福祉サービス事業者の指定は、主務省令で定めるところにより、障害福祉サービス事業を行う者の申請により、障害福祉サービスの種類及び障害福祉サービス事業を行う事業所(以下この款において「サービス事業所」という。)ごとに行う。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
指定申請にあたっては、申請書等を都道府県等に提出する必要があります。
(居宅介護、重度訪問介護、同行援護又は行動援護に係る指定の申請等)
平成十八年厚生労働省令第十九号
第三十四条の七 法第三十六条第一項の規定に基づき居宅介護、重度訪問介護、同行援護又は行動援護に係る指定障害福祉サービス事業者(法第二十九条第一項に規定する指定障害福祉サービス事業者をいう。以下同じ。)の指定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書又は書類を、当該申請に係る事業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。ただし、第四号に掲げる事項を記載した申請書又は書類(登記事項証明書を除く。)については、都道府県知事が、インターネットを利用して当該事項を閲覧することができる場合は、この限りでない。
一 事業所(当該事業所の所在地以外の場所に当該事業所の一部として使用される事務所を有するときは、当該事務所を含む。)の名称及び所在地
二 申請者の名称及び主たる事務所の所在地並びにその代表者の氏名、生年月日、住所及び職名
三 当該申請に係る事業の開始の予定年月日
四 申請者の登記事項証明書又は条例等
五 事業所の平面図
六 事業所の管理者及びサービス提供責任者(指定障害福祉サービス基準第五条第二項に規定するサービス提供責任者をいう。以下この款において同じ。)の氏名、生年月日、住所及び経歴
七 運営規程
八 利用者又はその家族からの苦情を解決するために講ずる措置の概要
九 当該申請に係る事業に係る従業者の勤務の体制及び勤務形態
十 法第三十六条第三項各号に該当しないことを誓約する書面(次条を除き、以下この節において「誓約書」という。)
十一 その他指定に関し必要と認める事項
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則
これらの事項について、各都道府県が定める所定の様式に記入等して、申請することになります。
申請から指定を受けるまでの期間は、地域差がありますが、おおむね2か月程度です。
なお、申請書類に補正が必要であったり、そもそも指定を受けるための人員や設備の基準を満たしていない場合などは、指定を受けるまでに時間がかかります。
上記のうち「法第三十六条第三項各号に該当しないことを誓約する書面」とは、障害者総合支援法第36条第3項に定める欠格事項(その事項に該当すると指定が受けられない事項)について、申請者が該当しないことを約束する書面のことです。
つまり、申請者は、この欠格事項に該当すると、指定を受けることができませんので、欠格事項の内容を理解しておく必要があります。
以下、欠格事項について、説明します。
欠格事項(該当すると指定を受けられない事項)
障害者総合支援法の第36条第3項に定める欠格事項は次のとおりです。
3 都道府県知事は、第一項の申請があった場合において、次の各号(療養介護に係る指定の申請にあっては、第七号を除く。)のいずれかに該当するときは、指定障害福祉サービス事業者の指定をしてはならない。
平成十七年法律第百二十三号
一~十三(略)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
欠格事項は、全部で14種類あります。以下、上記の(略)の部分を、個別に説明します。
条例の定めに該当しないとき
一 申請者が都道府県の条例で定める者でないとき。
平成十七年法律第百二十三号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
指定申請にあたっては、厚生労働省が定めたルールに基づいて、都道府県が個別の条例を定めている場合があります。
この都道府県等が定めた個別のルールについて、申請者が該当しない場合は、指定を受けることができません。
人員基準を満たさないとき
二 当該申請に係るサービス事業所の従業者の知識及び技能並びに人員が、第四十三条第一項の都道府県の条例で定める基準を満たしていないとき。
平成十七年法律第百二十三号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
これまでに説明してきたとおり、居宅介護事業所の開設にあたっては、従業者(ホームヘルパー)やサービス管理責任者について、有資格者が必要になります。
また、それらの職員に加えて、管理者も含めて、一定数の人員が必要になります。
こうした人員に関する基準について、都道府県等が定めた条例の基準を満たしていないと、指定を受けることができません。
設備基準を満たさないとき
三 申請者が、第四十三条第二項の都道府県の条例で定める指定障害福祉サービスの事業の設備及び運営に関する基準に従って適正な障害福祉サービス事業の運営をすることができないと認められるとき。
平成十七年法律第百二十三号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
これまでに説明してきたとおり、居宅介護事業所の開設にあたっては、事務室など、一定の設備・備品が必要になります。
こうした設備・備品に関する基準について、都道府県等が定めた条例の基準を満たしていないと、指定を受けることができません。
申請者が禁固以上の刑に処せられた等
四 申請者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
平成十七年法律第百二十三号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
申請者が、犯罪をして、禁固以上の刑(禁固以上なので、禁固刑だけでなく懲役刑を含みます)になった場合や、その執行猶予中の場合は、その刑期を終わるまで、または、執行猶予期間を終わるまで、指定を受けることができません。
申請者が保健・医療・福祉に関する法律に違反して罰金刑に処せられた等
五 申請者が、この法律その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
平成十七年法律第百二十三号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
申請者が、保健・医療・福祉に関する法律に違反して罰金刑になった場合や、その執行猶予中の場合は、その罰金の納付を終えるまで、または、執行猶予期間を終わるまで、指定を受けることができません。
ここでいう「保健医療若しくは福祉に関する法律」で「政令で定めるもの」とは、次の法律です。
(法第三十六条第三項第五号の政令で定める法律)
平成十八年政令第十号
第二十二条 指定障害福祉サービス事業者(療養介護を提供するものを除く。)又は指定障害者支援施設(法第二十九条第一項に規定する指定障害者支援施設をいう。以下同じ。)に係る法第三十六条第三項第五号(法第三十七条第二項、第三十八条第三項(法第三十九条第二項及び第四十一条第四項において準用する場合を含む。)及び第四十一条第四項において準用する場合を含む。)の政令で定める法律は、次のとおりとする。
一 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)
二 身体障害者福祉法
三 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
四 生活保護法
五 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)
六 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)
七 社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)
八 介護保険法
九 精神保健福祉士法(平成九年法律第百三十一号)
十 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)
十一 児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)
十二 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)
十三 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成二十三年法律第七十九号)
十四 子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)
十五 国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号。第十二条の五第十五項及び第十七項から第十九項までの規定に限る。)
十六 公認心理師法(平成二十七年法律第六十八号)
十七 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律(平成二十八年法律第百十号)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行令
申請者が労働に関する法律に違反して罰金刑に処せられた等
五の二 申請者が、労働に関する法律の規定であって政令で定めるものにより罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
平成十七年法律第百二十三号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
申請者が、労働に関する法律に違反して罰金刑になった場合や、その執行猶予中の場合は、その罰金の納付を終えるまで、または、執行猶予期間を終わるまで、指定を受けることができません。
ここでいう「労働に関する法律」で「政令で定めるもの」とは、次の法律です。
(法第三十六条第三項第五号の二の政令で定める労働に関する法律の規定)
平成十八年政令第十号
第二十二条の二 指定障害福祉サービス事業者又は指定障害者支援施設に係る法第三十六条第三項第五号の二(法第三十七条第二項、第三十八条第三項(法第三十九条第二項及び第四十一条第四項において準用する場合を含む。)及び第四十一条第四項において準用する場合を含む。)の政令で定める労働に関する法律の規定は、次のとおりとする。
一 労働基準法第百十七条、第百十八条第一項(同法第六条及び第五十六条の規定に係る部分に限る。)、第百十九条(同法第十六条、第十七条、第十八条第一項及び第三十七条の規定に係る部分に限る。)及び第百二十条(同法第十八条第七項及び第二十三条から第二十七条までの規定に係る部分に限る。)の規定並びにこれらの規定に係る同法第百二十一条の規定(これらの規定が労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第四十四条(第四項を除く。)の規定により適用される場合を含む。)
二 最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四十条の規定及び同条の規定に係る同法第四十二条の規定
三 賃金の支払の確保等に関する法律(昭和五十一年法律第三十四号)第十八条の規定及び同条の規定に係る同法第二十条の規定
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行令
申請者が指定取消から5年を経過していないとき
六 申請者が、第五十条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)、第五十一条の二十九第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第六項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者(当該指定を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があった日前六十日以内に当該法人の役員又はそのサービス事業所を管理する者その他の政令で定める使用人(以下「役員等」という。)であった者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含み、当該指定を取り消された者が法人でない場合においては、当該通知があった日前六十日以内に当該者の管理者であった者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)であるとき。ただし、当該指定の取消しが、指定障害福祉サービス事業者の指定の取消しのうち当該指定の取消しの処分の理由となった事実及び当該事実の発生を防止するための当該指定障害福祉サービス事業者による業務管理体制の整備についての取組の状況その他の当該事実に関して当該指定障害福祉サービス事業者が有していた責任の程度を考慮して、この号本文に規定する指定の取消しに該当しないこととすることが相当であると認められるものとして主務省令で定めるものに該当する場合を除く。
平成十七年法律第百二十三号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
指定を受けて障害福祉サービスを実施していた障害福祉サービス事業者が、指定を取り消された場合において、指定の取消しから5年間は、指定を受けることができません。
指定を取り消された事業者に関して、申請者が、その事業者の法人役員や、事業所の管理者である場合も含みます。
申請者が、法人役員・管理者であって、指定の取消前の60日間に役員・管理者を辞めた場合も含みます。
指定の取消が予想される段階で、取消し逃れのために役員・管理者を辞めた者を認めない趣旨です。
なお、上記の条文の後半部分において、ただし書きで、「指定の取消しに該当しないこととすることが相当であると認められるものとして主務省令で定めるものに該当する場合を除く」とあります。
ここでいう主務省令とは、障害者総合支援法の施行規則のことで、該当箇所は次のとおりです。
(法第三十六条第三項第六号の主務省令で定める同号本文に規定する指定の取消しに該当しないこととすることが相当であると認められるもの)
平成十八年厚生労働省令第十九号
第三十四条の二十の二 法第三十六条第三項第六号(法第三十七条第二項、第三十八条第三項(法第三十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十一条第四項、第五十一条の十九第二項(法第五十一条の二十一第二項において準用する場合を含む。)、第五十一条の二十第二項(法第五十一条の二十一第二項において準用する場合を含む。)及び第五十九条第三項において準用する場合を含む。)の主務省令で定める同号本文に規定する指定の取消しに該当しないこととすることが相当であると認められるものは、こども家庭庁長官、厚生労働大臣若しくはこども家庭庁長官及び厚生労働大臣、都道府県知事又は市町村長が法第五十一条の三第一項その他の規定による報告等の権限を適切に行使し、当該指定の取消しの処分の理由となった事実及び当該事実の発生を防止するための当該指定事業者等(法第四十二条第一項に規定する指定事業者等をいう。以下同じ。)による業務管理体制の整備についての取組の状況その他の当該事実に関して当該指定事業者等が有していた責任の程度を確認した結果、当該指定事業者等が当該指定の取消しの理由となった事実について組織的に関与していると認められない場合に係るものとする。
2 前項の規定は、法第三十六条第三項第七号の主務省令で定める同号本文に規定する指定の取消しに該当しないこととすることが相当であると認められるものについて準用する。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則
つまり、行政が、取消処分となった事案について、よく調査をした上で、取消の原因となった事実について、指定取消となった事業者による組織的な関与が無かったことを認める場合には、欠格事項にあたる取消ではないことになるので、取消から5年を経過しなくとも、指定申請が可能であるようです。
かなり特例的な措置であり、行政の判断次第のことですので、このルールによる救済は、多くを期待できないと思います。
申請者の密接な関係者が指定取消から5年を経過していないとき
七 申請者と密接な関係を有する者(申請者(法人に限る。以下この号において同じ。)の株式の所有その他の事由を通じて当該申請者の事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として主務省令で定めるもの(以下この号において「申請者の親会社等」という。)、申請者の親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として主務省令で定めるもの又は当該申請者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として主務省令で定めるもののうち、当該申請者と主務省令で定める密接な関係を有する法人をいう。)が、第五十条第一項、第五十一条の二十九第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第六項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過していないとき。ただし、当該指定の取消しが、指定障害福祉サービス事業者の指定の取消しのうち当該指定の取消しの処分の理由となった事実及び当該事実の発生を防止するための当該指定障害福祉サービス事業者による業務管理体制の整備についての取組の状況その他の当該事実に関して当該指定障害福祉サービス事業者が有していた責任の程度を考慮して、この号本文に規定する指定の取消しに該当しないこととすることが相当であると認められるものとして主務省令で定めるものに該当する場合を除く。
平成十七年法律第百二十三号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
前号「障害福祉サービス事業者の指定を取り消されて5年を経過していないとき」の応用になります。
申請者が法人の場合に、その申請者との関係で、株式の所有などを通じて、申請者が親会社として支配したり、または申請者が子会社として支配されたりの関係にある者が、かつて障害福祉サービス事業者として指定を受けて障害福祉サービスを実施し、その後、指定を取り消された場合、その指定の取消から5年を経過しない場合は、申請者は指定を受けることができません。
なお、上記の条文の後半部分において、ただし書きで、「指定の取消しに該当しないこととすることが相当であると認められるものとして主務省令で定めるものに該当する場合を除く」とあります。
この救済措置についても、前号の説明で引用した施行規則の第34条の20の2「法第三十六条第三項第六号の主務省令で定める同号本文に規定する指定の取消しに該当しないこととすることが相当であると認められるもの」が準用されます。(同条第2項)
申請者が取消処分の前に廃業をしたとき
八 申請者が、第五十条第一項、第五十一条の二十九第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第六項の規定による指定の取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に第四十六条第二項又は第五十一条の二十五第二項若しくは第四項の規定による事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から起算して五年を経過しないものであるとき。
平成十七年法律第百二十三号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
申請者が、かつて障害福祉サービス事業者として指定を取り消されそうになったときに、その取消処分を、するか、しないかの通知の前に、特段の廃業の理由もなく、あえて廃業届を出し、取消処分を避けた場合、実質的に取り消しを避けるために廃業したものとみなしうるので、廃業の届出をした日から5年間、指定を受けることができません。
申請者が聴聞の前に廃業をしたとき
九 申請者が、第四十八条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)又は第五十一条の二十七第一項若しくは第二項の規定による検査が行われた日から聴聞決定予定日(当該検査の結果に基づき第五十条第一項又は第五十一条の二十九第一項若しくは第二項の規定による指定の取消しの処分に係る聴聞を行うか否かの決定をすることが見込まれる日として主務省令で定めるところにより都道府県知事が当該申請者に当該検査が行われた日から十日以内に特定の日を通知した場合における当該特定の日をいう。)までの間に第四十六条第二項又は第五十一条の二十五第二項若しくは第四項の規定による事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から起算して五年を経過しないものであるとき。
平成十七年法律第百二十三号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
申請者が、かつて障害福祉サービス事業者として指定を取り消されそうになったときに、その取消処分の前提として行われる聴聞(取消処分をする前に、その事業者から、よく事情を聴くこと)の前に、特段の廃業の理由もなく、あえて廃業届を出し、聴聞を避けた場合、実質的に取り消しを避けるために廃業したものとみなしうるので、廃業の届出をした日から5年間、指定を受けることができません。
申請者が「取消処分の前に廃業をした事業者」の役員・管理者だったとき
十 第八号に規定する期間内に第四十六条第二項又は第五十一条の二十五第二項若しくは第四項の規定による事業の廃止の届出があった場合において、申請者が、同号の通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員等又は当該届出に係る法人でない者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)の管理者であった者で、当該届出の日から起算して五年を経過しないものであるとき。
平成十七年法律第百二十三号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
先述の「申請者が取消処分の前に廃業をしたとき」の応用になります。
取消処分を、するか、しないかの通知の前に、あえて廃業届を出した事業者に関して、その通知前60日以内に、申請者が、その事業者の法人役員や、事業所の管理者であったとき、その事業者が廃業の届出をした日から5年間、指定を受けることができません。
申請者が障害福祉サービスで不正または著しく不当な行為をしたとき
十一 申請者が、指定の申請前五年以内に障害福祉サービスに関し不正又は著しく不当な行為をした者であるとき。
平成十七年法律第百二十三号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
どのような行為が「不正又は著しく不当な行為」にあたるのか、障害者総合支援法の関係法令には明確な定めはありません。
この点、障害者総合支援法の第50条では、障害福祉サービス事業者が所定の行為をしたときに、指定の取消または「期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止」することができるとされています。
指定取消の場合は、ここまでに説明した各号のいずれかにあてはまると思われますので、この号では、指定取消には至らなくとも事業の停止の処分を受けた場合などが該当するものと思われます。
都道府県等の指定権者によるケースバイケースの判断になると思われます。
申請者が法人で、その役員・管理者が上記の各号の一部に該当するとき
十二 申請者が、法人で、その役員等のうちに第四号から第六号まで又は第八号から前号までのいずれかに該当する者のあるものであるとき。
申請者が法人である場合に、その法人の役員・管理者が、ここまでに説明した各号のうち、以下に該当する場合は、指定を受けることができません。
第4号 申請者が禁固以上の刑に処せられた等
第5号 申請者が保健・医療・福祉に関する法律に違反して罰金刑に処せられた等
第6号 申請者が労働に関する法律に違反して罰金刑に処せられた等
第8号 申請者が取消処分の前に廃業をしたとき
第9号 申請者が聴聞の前に廃業をしたとき
第10号 申請者が「取消処分の前に廃業をした事業者」の役員・管理者だったとき
第11号 申請者が障害福祉サービスで不正または著しく不当な行為をしたとき
申請者が法人でない者で、その管理者が上記の各号の一部に該当するとき
十三 申請者が、法人でない者で、その管理者が第四号から第六号まで又は第八号から第十一号までのいずれかに該当する者であるとき。
申請者が法人でない場合に、その管理者が、ここまでに説明した各号のうち、以下に該当する場合は、指定を受けることができません。
第4号 申請者が禁固以上の刑に処せられた等
第5号 申請者が保健・医療・福祉に関する法律に違反して罰金刑に処せられた等
第6号 申請者が労働に関する法律に違反して罰金刑に処せられた等
第8号 申請者が取消処分の前に廃業をしたとき
第9号 申請者が聴聞の前に廃業をしたとき
第10号 申請者が「取消処分の前に廃業をした事業者」の役員・管理者だったとき
第11号 申請者が障害福祉サービスで不正または著しく不当な行為をしたとき
まとめ
以上のとおり、居宅介護事業について、開業者向けに説明しました。
まとめると、次のとおりです。
・居宅介護は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業です。
・居宅介護は、在宅の障害者の方のためのホームヘルパーのサービスです。
・居宅介護事業をするには、都道府県等の指定を受ける必要があります。
・居宅介護を利用する障害者の方は「障害福祉サービス受給者証」をお持ちの方です。
・居宅介護事業の収入は、障害者の方の自己負担額と、国保連からの介護給付費になります。
・居宅介護の指定を受けるためには、人員、設備、運営ルール等を定める必要があります。
・指定申請は、都道府県等に、所定の申請書等を提出することによってします。
・申請者が、所定の欠格事項に該当する場合、指定を受けられません。
居宅介護の指定申請については、行政書士が代行することができます。
弊所におきましても対応しておりますので、気兼ねなくご相談ください。