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建設業許可の「欠格要件」とは?

建設業

欠格要件とは、それにあてはまると、その法律で求められている資格を欠いているとみなされてしまう要件のことをいいます。

欠格要件は、様々な法律に定められており、建設業法にも定められています。

建設業許可における欠格要件は、それにあてはまると、許可の申請者としての資格がなくなります。つまり、許可を受けられません。

この記事では、建設業許可における欠格要件について説明します。

企業倫理と法令遵守が求められている

建設業法に定める欠格要件に該当する場合、建設業許可を受けられません。

欠格要件について定める条文は次のとおりですが、どのような欠格要件があるのか、わかりにくいので、条文を分解して、個別にみていきます。

建設業法

第八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあつては、第一号又は第七号から第十三号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。
一 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
二 第二十九条第一項第五号又は第六号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者
三 第二十九条第一項第五号又は第六号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日から当該処分があつた日又は処分をしないことの決定があつた日までの間に第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出をした者で当該届出の日から五年を経過しないもの
四 前号に規定する期間内に第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、前号の通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの
五 第二十八条第三項又は第五項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
六 許可を受けようとする建設業について第二十九条の四の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
七 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
八 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
九 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(第十三号において「暴力団員等」という。)
十 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに第一号から第四号まで又は第六号から前号までのいずれかに該当する者のあるものに係る部分に限る。)のいずれかに該当するもの
十一 法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第九号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
十二 個人で政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第九号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
十三 暴力団員等がその事業活動を支配する者

許可申請書や添付書類に関すること

許可申請書や添付書類について、重要な部分に嘘が書いてあったり、重要な部分の記載が欠けているとき。

建設業の許可申請のときに、ウソや隠しごとはダメということです。

申請者などの身分に関すること

法人なら、役員などが、
個人なら、本人や使用人(支配人・支店長・営業所長等)が、
次の①から⑧にあてはまるとき。

① 成年被後見人、被保佐人、または破産者で復権を得ないもの

「成年被後見人」とは、 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所より後見開始の審判を受けたものをいいます。

※精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者の例
精神障害や知的障害で、その程度が重度なため、自力で契約等ができない方

「被保佐人」とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者で、家庭裁判所より保佐開始の審判を受けたものをいいます。

※精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者の例
成年被後見人ほどではないものの、精神障害や知的障害があるため、自力で契約等に不安がある方

「破産者で復権を得ないもの」とは、裁判所から破産手続開始決定を受けた者で、破産者として、免責などによる復権を終えていないものをいいます。

② 不正の手段で許可を受けたこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者  

建設業許可を取得した建設業者が、建設業法に違反することをした場合、許可を取り消されることがあります。

許可を取り消された者は、5年間、許可を再取得できません。

③ 上記②に該当するとして、行政庁から聴聞の通知を受け取った後に、廃業の届出をした場合、届出から5年を経過しない者

建設業許可を取得した建設業者が、建設業法に違反することをした場合、許可を取り消されることがあります。

行政庁は、建設業許可を取り消す前に、その建設業者に弁明のチャンスを与えます。

これを「聴聞」といいますが、建設業者の中には、取消処分を逃れるために、聴聞に応じる前に、みずから廃業してしまう者がいます。

みずから廃業した場合は、上記②にあてはまらないので、廃業後、5年間を待たずして開業できてしまうおそれがあります。

こうした脱法行為に対応するために、この③が定められています。  

④ 建設工事を適切に施工しなかったために、公衆に危害を及ぼしたとき、または、危害を及ぼすおそれが大であるとき、あるいは、請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により、営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

建設業許可を取得した建設業者が、建設業法に違反することをした場合、営業停止になることがあります。

営業停止中は、新たな許可申請を認めないということです。

⑤ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または、その刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

申請者が、犯罪をして、禁固以上の刑に処せられた場合にあてはまるものです。

「刑の執行を終わり、または、刑の執行を受けることがなくなった」とは、現実に刑の執行を終えたとき、または刑の時効が完成したとき、仮釈放になって刑期が満了したとき、恩赦の一種である刑の執行免除などで刑の執行の免除を受けたとき、のことをいいます。

なお、執行猶予の場合、執行猶予期間の終了後、すぐに許可申請が可能になります。

⑥ 建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、もしくは、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、または、刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

⑥は、次の法律があてはまります。
・「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」に違反した者に係る同法第46条、第47条、第49条、第50条
・「刑法」第204条(傷害罪)、第206条(現場助勢罪)、第208条(暴行罪)、第208条の2(凶器準備集
合罪)、第222条(脅迫罪)、第247条(背任罪)
・「暴力行為等処罰に関する法律」
・「建築基準法」第9条第1項、第10項前段(同法第88条第1項から第3項まで、または第90条第3項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による特定行政庁または建築監視員の命令に違反した者に係る同法第98条
・「宅地造成等規制法」第14条第2項、第3項又は第4項前段の規定による都道府県知事の命令に違反した者に係る同法第26条
・「都市計画法」第81条第1項の規定による国土交通大臣または都道府県知事の命令に違反した者に係る同法第91条
・「景観法」第64条第1項の規定による市町村長の命令に違反した者に係る同法第101条
・「労働基準法」第5条の規定に違反した者に係る同法第117条(「労働者派遣事業の適正な運営
の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」以下「労働者派遣法」という。))第44条第1項(「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」第44条の規定により適用される場合を含む)または労働基準法第6条の規定に違反した者に係る同法第118条第1項
・「職業安定法」第44条の規定に違反した者に係る同法第64条
・「労働者派遣法」第4条第1項の規定に違反した者に係る同法第59条

おおまかにいえば、建設業関係の法律違反、傷害などの暴力犯罪、暴力団との関わり、違法就労などで、罰金刑を受けると、あてはまることがあるということです。

⑦ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員または同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(⑧において「暴力団員等」という)

⑧ 暴力団員等がその事業活動を支配する者   

まとめ

以上が欠格要件ですが、通常の商慣習どおりに営業していれば、該当しないものばかりです。

建設業許可の申請時には、申請者ほか役員や使用人等が欠格条件に該当しないことを記した誓約書に、申請人が、署名押印することになります。

この誓約書で虚偽の宣誓をした場合は、虚偽申請となり、不利益処分の対象となります。

この記事を書いた人
行政書士上田

法務省、内閣官房、復興庁での勤務を経て、行政書士・社会福祉士として開業。 14年間、公務員として福祉分野などに関わってきた経験を生かして、許認可申請と生活相談を専門とした行政書士・社会福祉士として、お客様の事業や生活を支援しています。

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