ご相談は 090-7980-8123 へお電話ください。

建設業許可を受けなくてもできる工事ってあるの?

建設業

ある程度の小さな工事は、建設業許可を受けなくてもできます。
この記事では、そうした小さな工事について、説明します。

広告

軽微な工事について

建設業許可は、大きな工事や公共工事をするために必要な許可です。
そのため、小さな工事であれば、建設業の許可がなくてもできます。

この小さな工事のことを、建設業法では「軽微(けいび)な工事」といいます。

(建設業の許可)
第三条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
(以下略)

建設業法(昭和二十四年法律第百号)

アンダーライン部分の「政令で定める軽微な建設工事」が「軽微(けいび)な工事」のことです。

具体的に、どのような工事が、軽微な工事になるのでしょうか?

軽微な工事の内容については、建設業法の細かい部分を定める「建設業法施行令」に定めがあります。

(法第三条第一項ただし書の軽微な建設工事)
第一条の二 法第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事又は建築一式工事のうち延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事とする。
2 前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。
3 注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。

建設業法施行令(昭和三十一年政令第二百七十三号)

以上のとおり、軽微な工事は、「建築一式工事」または、それ以外の工事で、次のとおり分かれます。

「建築一式工事」で、次の①または②にあてはまる工事

ここでいう「建築一式工事」とは、元請業者が元請けとして請け負った建築一式工事のことをいいます。

①1件の請負金額が1500万円未満の建築一式工事

請負金額は、消費税込みとなります。
また、注文者が提供した材料の金額や、その材料の運送費も含みます。

「1件」の件数は、工事単位で数えます。 契約単位では数えません。
ひとつの工事であれば、工期が長かったり、工種が違ったりで、契約が分かれていても、あわせて1件として扱います。

以上について、国土交通省のガイドラインによれば、次のとおりです。

3.令第1条の2の「軽微な建設工事」について
(略)
(3)「軽微な建設工事」に該当するか否かを判断するに当たっては、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、正当な理由に基づいて契約を分割したときを除き、各契約の請負代金の額の合計額により判断し、また、注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請負代金の額に加えた額により、判断することとする。

国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」【第3条関係】抜粋

例えば、工事契約が2つに分かれている工事の場合でも、それがひとつの工事であって、それぞれの契約の請負金額を合算して1,500万円以上になる場合は、契約が分かれていても、工事1件として1,500万円以上の請負金額になりますから、建設業許可が必要となります。

②木造住宅で延べ面積が150平方メートル未満の建築一式工事

ここでいう木造住宅とは、主要構造部が木造で、延べ床面積の1/2が居住用のものをいいます。

この点、延べ床面積が150平方メートル未満であっても、延べ床面積の1/2以上が店舗用の木造住宅は、ここでいう木造住宅にあてはまらないので、工事をするには建設業許可が必要になります。

以上について、国土交通省のガイドラインによれば、次のとおりです。

3.令第1条の2の「軽微な建設工事」について
(1)「木造」とは、建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるものをいう。 (2)「住宅」とは、住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するものをいう。
(以下略)

国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」【第3条関係】抜粋

「建築一式工事」以外で、1件の請負金額が500万円未満の工事

もっぱら、下請の専門業者が施工する専門工事全般があてはまります。

請負金額は、消費税込みとなります。
また、注文者が提供した材料の金額や、その材料の運送費も含みます。

「1件」の件数は、工事単位で数えます。 契約単位では数えません。
ひとつの工事であれば、工期が長かったり、工種が違ったりで、契約が分かれていても、あわせて1件として扱います。

例えば、工事契約が2つに分かれている工事の場合で、それぞれの契約の請負金額を合算して500万円以上になる場合は、契約が分かれていても、工事1件として500万円以上の請負金額になりますから、建設業許可が必要となります。

以上について、国土交通省が定めているガイドラインついては「『建築一式工事』で、次の①または②にあてはまる工事」の項に記載しているので、参考にしてください。

軽微な工事の意義

以上、この「軽微な工事」だけを請け負うのであれば、建設業許可は必要ありません。

しかしながら、将来的に、事業規模を拡大するために、または、建設業者としての社会的信用を向上させるために、建設業許可を取得することは検討の余地があるといえます。

建設業許可は、条件がそろわないと、取りたくても取れない許可です。
条件には様々なものがありますが、長年にわたって工事の実績を積み重ねることも、その条件のひとつになります。

軽微な工事を積み重ねて、実績をつくることができたなら、せっかくのチャンスですから、許可を受けることができないか、ほかの条件もあわせて確認して、許可を受けることを考えてみたほうがよろしいかと思われます。

まとめ

この記事のまとめ

小さな工事(軽微な工事)であれば、建設業の許可がなくてもできます。

軽微な工事は、次の①から③のどれかにあてはまる工事のことです。
①建築一式工事で、1件の請負金額が1500万円(税込み)未満のもの
②建築一式工事で、木造住宅で延べ面積が150平方メートル未満のもの
③建築一式工事以外で、1件の請負金額が500万円(税込み)未満の工事のもの

軽微な工事を積み重ねて、実績をつくることができたなら、ビジネスチャンス拡大のために、建設業許可を受けることができないか、確認したほうがよろしいかと思われます。

広告

この記事を書いた人
行政書士上田

法務省、内閣官房、復興庁での勤務を経て、行政書士・社会福祉士として開業。 14年間、公務員として福祉分野などに関わってきた経験を生かして、許認可申請と生活相談を専門とした行政書士・社会福祉士として、お客様の事業や生活を支援しています。

行政書士上田をフォローする
建設業
この記事はSNSでシェアできます。