専任技術者になるには、学歴・資格・実務経験のいずれかが必要です。
このうち実務経験については、原則、許可を受けようとする工事業種について、10年が必要です。
許可を受ける工事業種が2業種の場合、10年×2業種=20年が必要になります。
この点、一部の工事業種については、実務経験の緩和措置があり、短い経験年数で、経験が認められることがあります。
以下、緩和措置の種類別にみていきます。
一式工事の振替
一式工事の工事業種(土木工事業や建設工事業)の経験年数と、その他の工事業種の経験年数を組み合わせることで、経験年数を短縮できることがあります。
土木工事業との組み合わせ
以下の①から④の工事業種のいずれかについて、8年を超える経験年数があり、土木工事業とあわせて、12年以上の経験年数がある場合、その8年を超える経験年数がある工事業種について、専任技術者として認められる経験年数があるとみなされます。
なお、以下の①から④の工事業種や土木工事業の経験年数の期間を重複することはできません。
①とび・土工工事業
②しゅんせつ工事業
③水道施設工事業
④解体工事業
例)とび・土工工事業について、8年6月の経験年数があり、土木工事業について、4年の経験年数がある場合
両方の経験年数を足すと「8年6月+4年=12年6月」となり、12年以上となります。
よって、とび・土工工事業について、8年6月の経験年数で、専任技術者として認められる経験年数があるとみなされます。
建築工事業との組み合わせ
以下の①から⑦の工事業種のいずれかについて、8年を超える経験年数があり、建築工事業とあわせて、12年以上の経験年数がある場合、その8年を超える経験年数がある工事業種について、専任技術者として認められる経験年数があるとみなされます。
なお、以下の①から⑦の工事業種や建築工事業の経験年数の期間を重複することはできません。
①大工工事業
②屋根工事業
③内装仕上工事業
④ガラス工事業
⑤防水工事業
⑥熱絶縁工事業
⑦解体工事業
例)大工事業について、9年2月の経験年数があり、建築工事業について、5年の経験年数がある場合
両方の経験年数を足すと「9年2月+5年=14年2月」となり、12年以上となります。
よって、大工工事業について、9年2月の経験年数で、専任技術者として認められる経験年数があるとみなされます。
とび・土工工事の振替
解体工事業について、8年を超える経験年数があり、とび・土工工事業とあわせて、12年以上の経験年数がある場合、解体工事業について、専任技術者として認められる経験年数があるとみなされます。
なお、両者の経験年数の期間を重複することはできません。
例)解体工事業について、8年1月の経験年数があり、とび・土工工事業について、5年の経験年数がある場合
両方の経験年数を足すと「8年1月+5年=13年1月」となり、12年以上となります。
よって、解体工事業について、8年1月の経験年数で、専任技術者として認められる経験年数があるとみなされます。
大工工事と内装仕上工事の振替
大工工事業と内装仕上工事業は、お互いの経験年数を振り返ることができます。
どちらかの工事業種について、8年を超える経験年数があり、他方の工事業種とあわせて、12年以上の経験年数がある場合、その8年を超える経験年数がある工事業種について、専任技術者として認められる経験年数があるとみなされます。
なお、両者の経験年数の期間を重複することはできません。
例1)大工事業について、8年1月の経験年数があり、内装仕上工事業について、4年の経験年数がある場合
両方の経験年数を足すと「8年1月+4年=12年1月」となり、12年以上となります。
よって、大工工事業について、9年1月の経験年数で、専任技術者として認められる経験年数があるとみなされます。
例2)大工事業について、9年の経験年数があり、内装仕上工事業について、8年6月の経験年数がある場合
両方の経験年数を足すと「9年+8年6月=17年6月」となり、12年以上となります。
また、両者について、8年を超える経験年数があります。
よって、大工工事業と内装工事業について、どちらも専任技術者として認められる経験年数があるとみなされます。