附帯工事とは、おおまかにいうと、主従関係のある複数の工事のうち、従たる工事のことをいいます。
建設業者は「軽微な工事」や「附帯工事」であれば、建設業許可を受けなくとも、工事ができます。
この記事では「附帯工事」について説明します。
※「軽微な工事」については、以下の記事を参考にしてください。
附帯工事の意義
建設業法では、建設業者は、建設業許可を受けた業種以外の建設工事ができないことになっています。(ただし、軽微な工事や、附帯工事ならできます)
例えば、大工工事業者は大工工事、左官工事業者は左官工事しかできません。
しかしながら、建設工事は、いろいろな専門工事の組み合わせであることが一般的で、どれか一つの工事だけでは完結しないことがあります。
あまりに厳しく考えて、大工工事業は大工工事だけを、左官工事業は左官工事だけをと、それぞれ許可を受けた工事だけをやる、と区分することは、建設工事の実情にそぐわず、注文者にも請負人にも負担となります。
そこで、建設業者が、許可を受けた業種の工事を施工するにあたり、その工事に「附帯する工事」(附帯工事)であれば、許可を受けていない業種の建設工事であっても、請け負い、施工してもいいと定められています。
建設業法
(附帯工事)
第四条 建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。
どのような工事が附帯工事にあたるのか
どのような工事が、附帯工事にあたるのでしょうか?
おおまかにいうと、主従関係のある複数の工事のうち、従たる工事のほうがあてはまると考えられます。
具体的には、次の①と②の2種類があてはまります。
①主たる工事の施工をするために必要な他の従たる工事
ここでいう従たる工事とは、主たる工事に関して、その準備や前提となる工事のことです。
(例)石工事業者が、石垣の築造にあたって、基礎部分の掘削やコンクリート工事を施工する。
この例では、
主たる建設工事が「石垣の築造」、
従たる建設工事が「基礎部分の掘削やコンクリート工事」となります。
よって、基礎部分の掘削やコンクリート工事は、石垣の築造のための「附帯工事」となり、建設業許可が不要です。
②主たる工事の施工をするために必要な他の従たる工事で、独立の使用目的に供されるものではないとされる工事
ここでいう従たる工事とは、主たる工事の施工に必要で、切り離せない工事のことです。
(例)管工事業者が、既存の建物に冷暖房工事の配管をするにあたって、壁体をはつったり、熱絶縁工事をしたり、施工後に内装仕上工事をする。
この例では、
主たる建設工事が「冷暖房工事の配管 」、
従たる建設工事が「はつり」、「熱絶縁工事」、「内装仕上工事」となります。
よって、「はつり」、「熱絶縁工事」、「内装仕上工事」は、冷暖房工事の配管のための「附帯工事」となり、建設業許可が不要です。
附帯工事にあたるかどうかの考え方
以上、①と②のとおり、ある工事が附帯工事にあてはまるかどうかは、建設工事の準備、実施、仕上げなどにあたって、複数の建設工事を、主たる建設工事と従たる建設工事として、一連または一体の工事として施工することが必要、または相当と認められるか否かを総合的に検討することになります。
そのほか、建設工事の注文者の利便さ、建設工事の請負契約の慣行なども基準として考えます。
なお、主体となる建設工事と、従たる建設工事との関係は、工事費の大小によって決めるものではありません。
施工内容などを踏まえて、まったく関連性のない工事を、ある工事の附帯工事とすることはできません。
附帯工事の注意点
以上のとおり、附帯工事は、建設業許可が不要です。
ただし、附帯工事の工事額が500万円(消費税込み)以上の場合は、次の①または②のどちらかの方法で施工しなければいけません。
①その附帯工事の専門工事の許可業者に施工に出す
②その附帯工事の専門工事の技術上の管理をつかさどる専門技術者(主任技術者)を配置して、自ら施工する