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会社の所在地(本店)を決めるときの注意点

会社設立

会社の所在地については、会社法に定めがあります。

会社の所在地は、その会社の本店の所在地であるとされています。(会社法第4条)

本店の所在地は、かならず定款に記載することになっています。(会社法第27条)

また、会社設立時に、法務局に登記(登録)することになっています。(会社法第911条)

よって、会社設立時には、かならず本店の所在地を決めなくてはいけません。

本店をどこにおくか未定のまま、会社設立の手続きを進めることはできません。

本店の所在地を決めるときに注意すること

会社設立をする際に、本店の所在地として考えられるのは、よほどの事業規模でなければ、創業者の自宅か、新たに借りる事務所のどちらかだと思われます。

この点、会社法では、本店をどこにするか、制限はありません。

ただし、会社法には制限がなくとも、それは会社法の範囲内では制限がないということであって、実際には、ほかの法律や、賃貸借契約の内容などによって、様々な制限がかかることがあります。

本店の所在地を定める場合には、次の点に注意してください。

居住用の住宅を本店にする場合に注意すること

自宅が賃貸住宅で、そこを本店にする場合、その賃貸住宅の用途について確認が必要です。

居住用の住宅は、事務所としての使用が禁止されている場合があります。

居住用の住宅を事務所として使用した場合、契約違反のおそれがあります。

賃貸借契約の内容によっては、契約違反によって、契約を解除される可能性があります。

賃貸住宅である自宅を本店にする場合、会社設立前に、契約書や重要事項説明書を見直し、家主や管理会社に相談することが必要です。

居住用の住宅であったとしても、家主と交渉して、特別に家主の許可を得て、使用承諾書を得れば、事業を開始することができる場合もあります。

ただし、許認可が必要な事業では、事務所の形態が厳格に定められている場合があり、使用承諾書を得て居住用の住宅で事業を行うことを認めていない場合もあります。開業前に、許可の要件を確認する必要があります。

また、都市計画法における用途地域の種類(もっぱら住宅地)などでは、特定の事業について営業が制限されている場合があるので、この点についても、事前に、許可行政庁への確認や、用途地域の調査が必要です。

貸事務所を本店にする場合に注意すること

貸事務所を借りて本店とする場合も、前もって、貸主に、その事務所で営業可能な事業を確認する必要があります。

また、許認可が必要な業種の場合、事務所の立地や間取り、設備などが、許認可の要件を満たしているか、満たしていない場合は、内装工事などで要件を満たしうるか、前もって確認する必要があります。

加えて、都市計画法における用途地域の種類によっては、その貸事務所で開業が制限される業種もあります。

以上について、物件を取り扱っている不動産業者や、事務所の貸主、許可行政庁などに確認する必要があります。

なお、貸事務所を借りる場合、賃料や原状回復費、解約予告期間などが、住居用の賃貸借契約よりも厳しい条件になっていることが一般的ですので、契約内容はよく確認してください。

定款や登記における本店の記載について

本店の所在地を定款や登記簿に記載する場合、それぞれルールがあります。

定款における本店所在地の記載について

本店の所在地を定款に記載する際は、最小単位の行政区画(市区町村)までを記載すればいいことになっています。

なお、番地や建物名も含めて、住所表記のすべてを定款に記載することも可能です。

この点、番地や建物名まで定款に記載した場合、本店の移転により本店所在地が変わった場合に、定款の変更が必要になります。

他方、最小単位の行政区画までの記載にとどめた場合には、最小単位の行政区画の中で移転した場合に限っては、定款の変更が不要となるので、手間と費用が省けます。

登記における本店所在地の記載について

本店の所在地を登記する際には、番地まで、記載する必要があります。

建物名は登記不要です(登記することも可能です)。建物内でフロアを拡張する予定があるなど、事業拡大が予期される場合は、記載を省略してもいいかもしれません。

まとめ

この記事のまとめ

会社の本店を定める際には、次の点に注意が必要です。

①居住用の住宅や、貸事務所を本店とする場合の注意点
・賃貸借契約の内容で、事務所使用が禁止されていることがある
・許認可が必要な事業で、事務所の形態や用法が許認可の要件となっていることがある
・その居住用の住宅がある地域が、都市計画法で、所定の事業が禁止されていることがある

②定款や登記簿に本店所在地を記載する際の注意点
・定款は、最小の行政区画までの記載で構わない。
・登記簿は、番地までの記載で構わない。

この記事を書いた人
行政書士上田

法務省、内閣官房、復興庁での勤務を経て、行政書士・社会福祉士として開業。 14年間、公務員として福祉分野などに関わってきた経験を生かして、許認可申請と生活相談を専門とした行政書士・社会福祉士として、お客様の事業や生活を支援しています。

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