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代表者印・社印・銀行印について

会社設立

会社設立にあたっては、様々な準備が必要ですが、印鑑の作成もそのひとつです。

会社が準備すべき印鑑には、代表者印・社印・銀行印があります。

この記事では、それらの印鑑について説明します。

代表者印について

代表者印は、会社の代表者の印鑑であり、会社の決裁権者である代表者の意思決定を表すものといえます。

契約書などに押印すれば、その会社の代表者が、確かに契約したとの証明になります。

代表者印は、法務局で印鑑登録をする必要があります

代表者印は、会社設立時に、印影を法務局に届け出て、印鑑登録をすることになっています。

商業登記法

(印鑑の提出)
第二十条 登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめ、その印鑑を登記所に提出しなければならない。改印したときも、同様とする。
2 前項の規定は、委任による代理人によつて登記の申請をする場合には、委任をした者又はその代表者について適用する。
3 前二項の規定は、会社の支店の所在地においてする登記の申請については、適用しない。

登録した印影は、法務局で印鑑証明書を発行してもらうことができます。

契約相手に印鑑証明書を提示すれば、契約書に押印された代表者印の印影が、本物であることの証明になります。

商業登記法

(印鑑証明)
第十二条 第二十条の規定により印鑑を登記所に提出した者又は支配人、破産法(平成十六年法律第七十五号)の規定により会社につき選任された破産管財人若しくは保全管理人、民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)の規定により会社につき選任された管財人若しくは保全管理人、会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)の規定により選任された管財人若しくは保全管理人若しくは外国倒産処理手続の承認援助に関する法律(平成十二年法律第百二十九号)の規定により会社につき選任された承認管財人若しくは保全管理人でその印鑑を登記所に提出した者は、手数料を納付して、その印鑑の証明書の交付を請求することができる。
2 第十条第二項の規定は、前項の証明書に準用する。

会社にとって、代表者印の取扱いは、個人にとっての実印のようなものであるといえます。

個人が、契約などに用いる大事な印鑑について、市区町村に届け出て、印鑑登録をするようなものです。

代表者印は、印影のサイズにルールがあります

代表者印を法務局に印鑑登録する場合、印影の大きさにルールがあります。

印影の1辺の長さは、1㎝以上3㎝以内の正方形に収まるサイズとなります。

商業登記規則

第九条(略)
3 印鑑の大きさは、辺の長さが一センチメートルの正方形に収まるもの又は辺の長さが三センチメートルの正方形に収まらないものであつてはならない。
(以下略)

印影の形状に決まりはありません。丸型でも角型でも構いません。

一般的には、18mmの丸印が使われていることが多いようです。

以上を踏まえて、代表者印は、「会社実印」や「丸印」と呼ばれることもあります。

社印について

社印は、見積書や納品書、請求書、領収書など、会社が業務遂行の上で作成する様々な書類に押印されるもので、それらの書類が、その会社によって作成されたことを表すものといえます。

会社が作成する様々な書類には、決裁権者である代表者が、代表社印を用いて自ら押印するほどではないものの、会社として作成したことを表すことが必要な書類が多々あります。

社印は、そうした書類のための印鑑であり、個人に例えるなら、認印のようなものです。

そのため、社印は、「会社認印」との呼称もあります。

社印の印影や形状について、ルールはありません。
一般的には、角印が多いようです。

社印の代わりに代表者印を用いる場合

社印を用いない場合は、代表者印で代用することになります。
その場合、各部署の業務担当者が、それぞれの業務書類で、代表者印を使いまわすことになりかねません。
代表者印は、代表者だけが用いるべきで、代表者印の用いられ方として、好ましくありません。
また、様々な書類に代表者印を用いると、代表者印の印影が広く知られることになってしまうので、代表者印の印影について、偽造のリスクが高まります。

銀行印について

銀行印は、銀行における法人口座の開設や、手形・小切手の振出に用いるものです。

法人口座開設時に、銀行に届け出て登録します。個人における銀行印の取扱いと同様です。

法人口座の開設時には、手続書類に、代表者印の押印と、その印鑑証明書の提出が必要なことがあります(銀行によっては不要な場合もあります)。
その場合、先に代表者印を作成し、印鑑登録を終える必要があります。

銀行印の印影や形状について、ルールはありません。
一般的には、代表者印よりも小さめの丸印が多いようです。

銀行印は経理担当者などが用いる機会もありますので、代表者印と分けておいたほうが無難であると思われます。

銀行印の代わりに代表者印を用いる場合

上述の社印の場合と同じことがいえます。
銀行印を用いない場合は、代表者印で代用することになります。
その場合、経理担当者が、代表者印を用いることになります。
代表者印は、代表者だけが用いるべきで、代表者印の用いられ方として、好ましくありません。
また、様々な書類に代表者印を用いると、代表者印の印影が広く知られることになってしまうので、代表者印の印影について、偽造のリスクが高まります。

まとめ

この記事のまとめ

会社が準備すべき印鑑には、代表者印・社印・銀行印があります。

代表者印は、会社の決裁権者である代表者の意思決定を表すものといえます。
個人における実印ようなものです。
印影を法務局に届け出て、印鑑登録をすることになっています。
印鑑登録をすると、印鑑証明書を発行できます。
印影の大きさにルールがあります。

社印は、会社が業務遂行の上で作成する様々な書類に押印されるもので、それらの書類が、その会社によって作成されたことを表すものといえます。
個人における認印のようなものです。

銀行印は、法人口座の開設や、手形・小切手の振出に用いるものです。
口座開設時に、銀行に届け出て登録します。個人における銀行印の取扱いと同様です。

この記事を書いた人
行政書士上田

法務省、内閣官房、復興庁での勤務を経て、行政書士・社会福祉士として開業。 14年間、公務員として福祉分野などに関わってきた経験を生かして、許認可申請と生活相談を専門とした行政書士・社会福祉士として、お客様の事業や生活を支援しています。

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