ご相談は 090-7980-8123 へお電話ください。

定款の認証について

会社設立

会社を設立するときの定款は、公証役場で公証人の認証を受けることが必要です。

認証を受けることで、その定款が、発起人によって作成されたことが証明されます。

また、その内容についても、公証人のチェックを経て、客観的に明確になることで、後日の紛争を予防する効果があります。

なお、会社設立時に、定款に認証を受けていない場合、その定款は、法務局で受理されないので、会社を設立することができません。

この記事では、定款の認証について、説明します。

公証役場における認証とは

公証役場は、法務局の管轄する機関で、全国に300か所ほど存在します。

公証役場には、公証人(裁判官や検察官などのOBで法律の専門家。非常勤の公務員のような立場)がおり、公証事務に携わっています。

公証事務のうちには「認証」というものがあります。

認証とは、作成者の署名や記名押印のある私文書(「私署証書」といいます)について、その文書が作成名義人の意思に基づいて作成されたことを公証人が証明するものです。

会社設立においては、設立時に作成した定款について、この認証を受けることになっています。

なお、定款の認証は、設立時における定款には必要ですが、会社設立後に定款を変更する場合については不要です。

公証役場の管轄について

会社設立時の定款の認証は、その会社の本店の所在地を管轄する法務局に所属する公証役場の公証人の認証が必要です。

本店の所在地を管轄する法務局や公証役場は、法務局のホームページで確認できます。

ひとつの法務局に、複数の公証役場が属する場合は、それらの公証役場のうち、どこの公証役場でも認証できます。

認証のときに準備するもの

公証役場に行く際には、次のものを準備します。

①定款3通(会社保管用、登記用、公証役場保管用)
 いずれも発起人全員が署名し、実印で押印します。
 各ページの境目には契印を押します。

②印鑑証明書2通(定款の認証用、登記用)
 発起人の全員分を、発行後3か月以内のものについて、各人2通ずつ必要です。
 うち1通は、認証後の登記用ですが、二度手間になるので、このとき入手しておきます。

③収入印紙(4万円)
 ①の公証人保管用の定款に、収入印紙を貼付し、消印を押します。
 ただし、電子定款(後述)の場合は、印紙は不要です。(4万円分、費用が安くなります)

④公証人の認証手数料
 5万円です。(手数料令35条)
 そのほか、謄本の作成手数料が1枚につき250円かかります。

⑤発起人の実印
 全員分です。定款の記載事項に誤記がある場合など、修正の際に必要となります。

⑥発起人の本人確認資料
 公証役場によっては、運転免許証などの本人確認資料の提示を求めることがあります。  

電子定款とは

定款は、PDFによる電子データで作成することも認められており、これを電子定款といいます。

電子定款は、文書ではないので、収入印紙(4万円)が不要となり、経費節減となります。

他方、電子定款に特有の手続きが必要となり、手間が増えます。

電子定款の手続きを理解した上で、活用の是非を考える必要があります。

電子定款には、電子署名と電子証明書が必要となる

定款は、作成者(発起人)が、署名押印することで、その定款が作成者によって作成されたことを証明します。

この点、電子定款は、電子データでできているので、紙の定款のようには、署名押印ができません。

そこで、署名押印のかわりに、電子署名という仕組みで、データに署名します。

また、電子署名が真正なものであることの証明として、PDFファイルに、電子証明書を添付します。いわば、発起人の印鑑証明書を添付するようなものです。

定款を電子定款にするには、定款をWordなどで作成したら、PDF作成ソフト(Adobe Acrobat)で、定款をPDFにして、マイナンバーカードなどを用いて、電子署名と電子証明書を添付することになります。

電子定款の作成を、司法書士や行政書士に依頼した場合は、それらの専門家が専門職の電子署名と電子証明書を用います。

電子定款の法務局への送付は、法務省登記・供託オンライン申請システムを用います。

オンラインで申請した後は、定款内容の変更はできません。
確認事項がある場合は、申請前に済ませるようにします。

電子定款には、機材が必要となる

発起人が、みずから電子定款を作成する場合は、次の機材が必要です。

・PDF作成ソフト(Adobe Acrobatなど。PDFを作成し、電子署名するために必要)
・マイナンバーカード(電子定款に電子署名し、電子証明書を添付するために必要)
・カードリーダライタ(マイナンバーカードを読み込む際に必要)

電子証明書は、発起人が自分で電子定款を作成するのであれば、発起人の住所地のある市区町村役場で、みずからのマイナンバーカードに、電子証明書を付加する手続きが必要です。

また、カードリーダライタは、公的個人認証サービスに対応していることが必要です。

電子定款申請後の手続き

電子定款オンライン申請した後は、公証役場に次の書類を持ち込み、公証人に電子定款を認証してもらいます。

本人確認書類

・電子署名をした人が個人の場合、①または②
①印鑑登録証明書と実印
②運転免許証、パスポート等の顔写真入りの公的機関発行の身分証明書を1つと認印

・電子署名をした人が法人の場合、次の①から③
①代表者事項証明書、現在事項全部証明書、履歴事項全部証明書、法人登記簿謄本のいずれか1つ
②法人代表者の印鑑証明書
③法人代表者の代表者印

電子署名をしない発起人等の委任状・証明書類

・電子署名をしない発起人・社員・設立者全員から電子署名をする人への委任状

・電子署名をしない発起人・社員・設立者全員の証明書類
 ※電子署名をしない発起人・社員・設立者が個人の場合
  印鑑登録証明書

 ※電子署名をしない発起人・社員・設立者が法人の場合、次の①と②
  ①代表者事項証明書、現在事項全部証明書、履歴事項全部証明書、法人登記簿謄本のうち1つ
  ②法人代表者の印鑑証明書

まとめ

この記事のまとめ

会社設立時の定款は、公証人の認証が必要です。
認証を受けていない定款は、法務局で受理されないので、会社を設立できません。

【公証役場での認証時に準備するもの】
①定款3通(会社保管用、登記用、公証役場保管用)
②印鑑証明書2通(定款の認証用、登記用)
③収入印紙(4万円)※電子定款の場合は不要
④公証人の認証手数料(5万円)ほか、謄本作成費(1枚につき250円)
⑤発起人の実印・本人確認資料

電子定款とは、PDFで作成した定款で、発起人の電子署名や電子証明書を付したもの。
PDFを法務省のシステムで送付することでオンライン申請ができます。
ただし、別途、公証役場に必要書類を持参して認証を受ける必要があります。

この記事を書いた人
行政書士上田

法務省、内閣官房、復興庁での勤務を経て、行政書士・社会福祉士として開業。 14年間、公務員として福祉分野などに関わってきた経験を生かして、許認可申請と生活相談を専門とした行政書士・社会福祉士として、お客様の事業や生活を支援しています。

行政書士上田をフォローする
会社設立
この記事はSNSでシェアできます。