会社は、その目的を定め、定款に記載しなければいけません。
会社の目的は、定款の絶対的記載事項であり、会社の目的が記載されていない定款は無効です。無効な定款では、会社を設立できません。
この記事では、会社の目的について説明します。
「会社の目的」は業態の根拠となる
会社は、定款に記載された目的の範囲内で活動できます。
よって、目的には、その会社の事業となるものを、余すことなく記載することが必要です。
会社の目的は、具体的には、”〇〇業”、”□□の販売”、”●●の運営”、などの簡潔な記載ぶりになります。また、箇条書きのように、列記していくことが一般的です。
簡潔に記載できないような事業は、同種の事業をしている会社の定款を参考にするなどして、適切な記載ぶりを考えることになります。
(自社ホームページで定款を公開している会社は多いです。また、その会社の登記簿を見ることでも確認できます)
この点、定款は、客観的な明確さが求められるので、専門用語や業界用語、アルファベット、カタカナの外来語などを用いた目的は、わかりにくいこともあります。
わかりにくい定款は、設立登記の際に、法務局に認められないことがあります。
会社の目的を、うまくまとめられないときは、前もって法務局に相談したほうが無難です。
また、会社の目的の末尾には「前各号に附帯または関連する一切の業務」との記載を設けて、本業の周辺事業にも漏れなく対応できるようにします。
その他の留意点
会社の目的は、目的に含める事業の性質によって、次の留意点があります。
近く実施予定の事業がある場合
現状では開始していない事業についても、近い将来に開始する予定であれば、記載しておくほうが無難です。
新規事業を開始する際に、その事業について、目的として定款に記載がないと、定款違反となってしまい、事業を開始できません。
この場合、新規事業の開始前に、定款の変更が必要となります。
定款の変更には、株主総会の決議や、変更登記が必要となり、よけいな手間が生じます。
許認可が必要な事業がある場合
建設業など、行政庁の許認可が必要な事業については、許認可の申請時に、許可行政庁が、会社の目的をチェックします。
このとき、会社の目的に、その許認可事業について記載がないと、許認可の取得手続きにおいて支障が出ることがあります。
また、兼業が禁止されている許認可事業をいくつも目的に含めている場合は、兼業違反が疑われます。
兼業が禁止されていない許認可事業であっても、会社の規模からみて目的の数が多すぎて、まともに許認可事業を経営できないと疑われる場合は、許認可の取得手続きにおいて、支障が出るおそれがあります。
非営利の事業を含める場合
会社は、営利企業であることが前提です。
そのため、ボランティア活動など、非営利の事業だけを目的とする定款は認められません。
事業が多すぎる場合
会社の目的には、個数の制限はありません。
ただし、目的が増えすぎると、何が本業であるのか不明確になり、会社として対外的な信用を得られないおそれがあります。
一般的には、10個程度に収まるように記載されています。
融資・信用保証が必要である場合
審査時に不利となりうるので、融資や保証の対象外となる業種は目的に含めないほうが無難です。
対象外となる業種は、融資や保証を実施する機関によって様々です。個別に確認することが必要です。
法律違反となる事業は目的にできない
当然のことではありますが、法律違反となる目的を定めることはできません。
その目的による活動内容が、実質的にみて、犯罪や迷惑行為にあたるものは認めらません。
また、日本政府を転覆させるためとか、社会を混乱に陥れるためとか、反社会的な目的も認められません。