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相続開始後に押さえておきたい保険給付や保険金など

相続

相続開始によって、被相続人の死亡に関する保険給付や保険金などの請求権が、個別に発生していることがあります。
これらの請求権は、請求しないままでいると、それぞれ時効によって消滅してしまうので、忘れずに請求してください。
被相続人の保険への加入状況や、保険料の納付状況によりますが、次のようなものがあります。

国民健康保険・健康保険関係

死亡した被保険者の葬儀を執り行った方に、その葬儀費用の給付があります。

葬祭費

国民健康保険の被保険者が死亡すると、被保険者の葬儀を執り行った方に、葬祭費が支給されます。支給額は、自治体によって異なります。

葬祭費を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から2年です。

埋葬料・埋葬費

健康保険の被保険者が業務外の事由により死亡した場合、その被保険者に生計を維持されていた埋葬を行う方に「埋葬料」が支給されます。

埋葬料を受けられる方がいない場合は、実際に埋葬を行った方に、埋葬料の範囲内で実際に埋葬に要した費用が「埋葬費」として支給されます。

また、健康保険の被扶養者が亡くなったときは、被保険者に「家族埋葬料」が支給されます。

これらの給付を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から2年です。
(埋葬費は埋葬日の翌日から2年です。)

国民年金関係

国民年金には、①遺族基礎年金、②寡婦年金、③死亡一時金があります。
手続きの窓口は、市町村役場、年金事務所、街角の年金相談センターです。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、被保険者によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができます。ただし、次の条件があります。

①被保険者について
老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上あること。
また、保険加入期間の3分の2以上、保険料が納付または免除されていること。
※平成38年4月1日までは、死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間に、保険料の滞納がなければ受けられます。

②遺族について
被保険者によって生計を維持されていたこと。
子は次の者に限ります。
  18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
  20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
※「生計を維持されていた」とは、原則、次にあてはまる場合をいいます。
原則、被保険者と同居していること。
(別居の場合、仕送りしている、健康保険の扶養親族である等の事実が必要)
加給年金額等対象者については、前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること。

遺族基礎年金を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から5年です。

寡婦年金

第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上ある夫が亡くなったときに、10年以上継続して婚姻関係にあり、生計を維持されていた妻に対して60歳から65歳になるまでの間支給されます。

年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3です。

亡くなった夫が、障害基礎年金の受給権者であった場合や、老齢基礎年金を受けたことがある場合には支給されません。

妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合は支給されません。

寡婦年金を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から5年です。

死亡一時金

国民年金の死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者が死亡した際に、その遺族が受け取ることができる一時金です。ただし、次の条件があります。

被保険者の保険料を納めた月数が、36月以上あること。
老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったこと。
受け取ることができる遺族は、被保険者と生計を同じくしていた遺族です。
遺族の優先順位は、①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、です。

死亡一時金を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から2年です。

厚生年金関係

厚生年金には、遺族厚生年金があります。
手続きの窓口は、年金事務所、街角の年金相談センターです。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金保険の ①被保険者または ②被保険者 であった方が死亡したときに、被保険者によって生計維持されていた遺族が受けることができます。
ただし、次の条件があります。

①被保険者について
以下のいずれかにあてはまる必要があります。
・国民年金保険の加入期間の3分の2以上、保険料が納付または免除されていること。
 ※平成38年4月1日までは、死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間に、保険料の滞納がなければ受けられます。
・老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。

被保険者であった方の場合、被保険者期間中の傷病がもとで、初診日から5年以内に死亡したときに限ります。

②遺族について
被保険者によって生計を維持されていた次の遺族であること。
・妻
・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子・孫
・20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子・孫
・55歳以上の夫、父母、祖父母
 (支給開始は60歳からです。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できます)
※30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付となります。
※子のある配偶者、子(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者に限ります)は、遺族基礎年金もあわせて受けられます。

遺族厚生年金を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から5年です。

労災保険関係

被相続人が、労災によって死亡した場合の給付になります。
①遺族補償年金(遺族年金)、②遺族補償年金前払一時金(遺族年金前払一時金)、③遺族補償一時金(遺族一時金)、④葬祭料(葬祭給付)があります。

遺族補償年金(遺族年金)

業務災害による死亡の場合は「遺族補償年金」、通勤災害による死亡の場合は「遺族年金」が支給されます。ただし、次の条件があります。

受給権者となる遺族は、被災労働者(被相続人)の死亡当時に、その収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹です。

妻以外の遺族については、被災労働者の死亡の当時に、一定の年齢であるか、一定の障害の状態にあることが必要です 。

「被災労働者の死亡の当時、労働者の収入によっ て生計を維持していた」とは、主として被災労働者の収入によって生計を維持していた場合だけでなく、被災労働者の収入によって生計の一部を維持していた、いわゆる「共稼ぎ」の場合もこれに含まれます 。

受給権者となる順位は次のとおりです。
①妻または60歳以上か一定障害の夫
②18歳に達する日以後の 最初の 3月31日までの間にあるか 一定障害の子
③60歳以上か一定障害の父母
④18歳に達する日以後の 最初の3月31日までの間にあるか 一定障害の孫
⑤60歳以上か一定障害の祖父母
⑥18歳に達する日以後の最初の 3月31日までの間にあるか 60歳以上または一定障害の兄弟姉妹
⑦55歳以上60歳未満の夫
⑧55歳以上60歳未満の父母
⑨55歳以上60歳未満の祖父母
⑩55歳以上60歳未満の兄弟姉妹
※一定の障害とは、障害等級第5級以上の身体障害をいいます。
※配偶者の場合、婚姻の届出をしていなくても、事実上婚姻関係と同様の事情にあった方も含まれます。また、被災労働者の死亡の当時、胎児であった子は、生まれたときから受給資格者となります。
※最先順位者が死亡や再婚などで受給権を失うと、その次の順位の者が受給権者となります(これを「転給」といいます)。
※⑦~⑩の夫・父母・祖父母・兄弟姉妹は、受給権者となっても、60歳になるまでは年金の支給は停止されます(これを「若年停止」 といいます)。

遺族補償年金(遺族年金)を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から5年です。

遺族補償年金前払一時金(遺族年金前払一時金)

業務災害による死亡の場合は「遺族補償年金前払一時金」、通勤災害による死亡の場合は「遺族年金前払一時金」が支給されます。

遺族(補償)年金を受給することとなった遺族は、1回に限り、年金の前払いを受けることができます。
若年停止により年金の支給が停止されている場合でも、前払いを受けることができます。

遺族補償年金前払一時金(遺族年金前払一時金)を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から2年です。

遺族補償一時金(遺族一時金)

業務災害による死亡の場合は「遺族補償一時金」、通勤災害による死亡の場合は「遺族一時金」が支給されます。

次のいずれかの場合に支給されます。
①被災労働者の死亡の当時、遺族(補償)年金を受ける遺族がいない場合
②遺族(補償)年金の受給権者が、最後順位者まですべて失権したとき、受給権者であった遺族の全員に対して支払われた年金の額および遺族(補償)年金前払一時金の額の合計額が、給付基礎日額の1,000日分に満たない場合

遺族補償一時金(遺族一時金)を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から5年です。

葬祭料(葬祭給付)

業務災害による死亡の場合は「葬祭料」、通勤災害による死亡の場合は「葬祭給付」が支給されます。

支給対象は、必ずしも遺族とは限りませんが、通常は葬祭を行うにふさわしい遺族となります。
なお、葬祭を執り行う遺族がなく、社葬として被災労働者の会社が葬祭を行った場合は、その会社に対して支給されることとなります。

葬祭料(葬祭給付)を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から2年です。

生命保険(任意保険)

被保険者が、任意で生命保険に加入している場合、保険会社から死亡保険金を受け取れることがあります。

保険証券や約款、保険商品のパンフレットなどを参考に、保険会社に問い合わせてください。

保険給付を請求する権利の時効は、死亡後3年です。

まとめ

この記事のまとめ

被相続人の死亡によって、様々な保険給付の請求権が発生している可能性があります。
請求権には、それぞれ2~5年の時効があります。忘れずに請求してください。

請求権が発生している可能性があるものとして、次のようなものがあります。
①国民健康保険・健康保険(葬祭費、埋葬料、埋葬費)
②国民年金(遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金)
③厚生年金(遺族厚生年金)
④労災保険(遺族補償年金(遺族年金)、遺族補償年金前払一時金(遺族年金前払一時金)、遺族補償一時金(遺族一時金)、葬祭料(葬祭給付))
⑤生命保険(任意保険)

この記事を書いた人
行政書士上田

法務省、内閣官房、復興庁での勤務を経て、行政書士・社会福祉士として開業。 14年間、公務員として福祉分野などに関わってきた経験を生かして、許認可申請と生活相談を専門とした行政書士・社会福祉士として、お客様の事業や生活を支援しています。

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