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会社の資本金とは 特徴や税金との関係

会社設立

資本金とは、会社にとって、設立の元手となり、その後の運転資金となる資金のことです。

会社設立時においては、資本金は、創業者の自己資金であることがほとんどです。

なお、株式会社においては、株主が出資した資金が資本金となります。

この記事では、資本金について説明します。

資本金の特徴

資本金は、会社が自ら調達した資金であり、借入金のような返済義務がありません。

したがって、資本金の額は、その会社にとって、財務面の体力を示すものであり、会社の信用を表す指標のひとつといえます。

この点、会社設立においては、資本金の額を自由に設定できます。

極端な話ですが、創業者は、1円を出資すれば、会社を設立できてしまいます。

しかしながら、資本金が1円しかない会社では、事業資金が皆無であり、社会的信用を得ることは困難であると思われます。

資本金の額は、会社設立後のランニングコストを勘案して、3~6か月分の運転資金を資本金とすることが一般的です。

そのくらいの資金を当初に調達していなければ、四半期や半期の事業計画を立てられません。

また、事業資金が乏しいと、売り上げが伸びない場合に、決算において、債務超過になりかねません。

そのほか、許認可が必要な事業においては、財務基盤の安定が許認可の要件となっている場合があるので、前もって許認可の要件を調査しておくことも重要です。

なお、資本金は、会社設立後に、増資によって増額することもできます。

この点、株式会社にとっては、増資は、1株あたりの価値を押し下げる効果があるので、既存の株主に不利益をもたらす可能性があります。

また、株主が増えることで、株主の構成が変化し、会社の経営に影響を及ぼす可能性があります。

資本金と税金

会社は、資本金の額によって、納税額が変わることがあります。

税負担を勘案して、資本金の額を決めることも検討の余地があります。

法人住民税

法人住民税は、会社の事業所が存在する地域の地方自治体が、会社に課税する税金です。

東京23区では「都民税」という名称です。
その他の地方自治体では「道府県民税」と「市町村民税」に分かれています。

課税額は、その会社の法人税の課税額や資本金の額などで変化します。

法人住民税のうち、資本金の額によって、課税額が変化する部分を「均等割額」といいます。

例えば、東京都内のみに事業所があり、従業員50人以下の会社の場合、資本金の額によって、都民税の均等割額は次のとおり変化します。

資本金1,000万円以下 → 課税額70,000円
1,000万円超 ~1億円以下 → 18万円
1億円超 ~ 10億円以下 → 29万円
10億円超 ~ 50億円以下 → 95万円
50億円超 ~ → 121万円

消費税

会社が収める消費税は、会社の資本金の額によって、課税開始時期が異なります。

資本金が1,000万円未満の場合、会社設立後、1年間、消費税の納税義務が免除されます。

また、2期目についても、資本金が1,000万円未満であり、次のいずれかの条件を満たす場合には、納税義務が免除されます。

①前事業年度の開始から6か月間の課税売上高が1,000万円以下
②前事業年度の開始から6か月間の給与支払額の合計額が1,000万円以下
③設立1期目が7か月以下

現物出資について

会社の出資者(発起人)は、現金以外に、物による出資も可能です。

例えば、不動産や、有価証券、備品(バソコン、事務机、自動車…)などを出資できます。

こうした現金以外の財産を出資することを「現物出資」といいます。

会社設立において、現物出資が用いられた場合、その物の価額と、出資された現金の合計額が、その会社の資本金になります。

この点、現物出資の場合、出資する物の適正価額がいくらであるのかが、問題になります。

現物出資の客観的な評価を行うためには、裁判所において選任された検査役の調査が必要です。
なお、次の条件をいずれか満たす場合には、検査役による検査は不要です。

・現物出資の財産額が500万円以下のもの
・市場価格のある有価証券で、市場価格を超えない額を定款で定めたもの
・定款に記載された額について、弁護士や税理士等の専門家から、相当な価額であるとの証明をうけたもの
 ※不動産については、不動産鑑定士の鑑定評価も必要

なお、物の価額について、実際の金額よりも過大に評価してしまった場合、会社設立時の資本金が不足することになります。

その場合、発起人と、会社設立時の取締役は、連帯責任で、不足額を支払わなければなりません。

そのほか、不動産や自動車、有価証券などの現物出資では、名義変更の手続きが必要です。

まとめ

この記事のまとめ

資本金は、会社の自己資金であり、借入金のような返済義務がありません。
そのため、会社の財務基盤の指標となり、信用の裏付けとなります。

資本金の額に制限はなく、1円からでも可能です。
ただし、実務上は、3~6か月分の運転資金を調達します。

資本金の額によって、納税額が変わる税金があります。
①法人住民税
②消費税

現金にかえて、物の提供による出資も可能です。これを現物出資といいます。
現物出資は、所定の手続きで、物の適正価額を評価する必要があります。
(所定の条件を満たせば、検査を省略できます)
物の価額を過大評価したために資本金が足りない場合、発起人と設立時の取締役が、連帯して不足額を支払います。

現物出資する物には、名義変更が必要な物があります。
(例)不動産、有価証券、自動車

この記事を書いた人
行政書士上田

法務省、内閣官房、復興庁での勤務を経て、行政書士・社会福祉士として開業。 14年間、公務員として福祉分野などに関わってきた経験を生かして、許認可申請と生活相談を専門とした行政書士・社会福祉士として、お客様の事業や生活を支援しています。

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