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株式の発行について

会社設立

株式会社の設立では、発起人の出資に対して、出資額に見合った株式が発行されます。

この点、株式会社の経営の安定化のためには、株式を発行するにあたって、その株主構成が経営に及ぼす影響や、資金調達の利便性などを踏まえながら、1株あたりの単価や、発行する株式の数、株式の譲渡に関するルールを定めておく必要があります。

1株あたりの単価について

株式会社は、1株あたりの単価について、制限はなく、自由に設定できます。

また、定款への記載も自由となっています。

単価の額については、資金調達や株主構成を考えて決める必要があります。

単価が高すぎると、出資者が株式を買いづらくなるので、出資を集めることが困難になります。また、株主が少なくなりがちなので、特定の株主の意見が会社の意思決定に影響を及ぼすことがあります。

他方、単価が低すぎると、出資者が株式を買いやすくなるので、出資を集めやすくなりますが、株主の数が増えがちなので、株主の意見をまとめづらくなり、会社の意思決定が混乱するおそれがあります。

一般には、1株1万円、または1株5万円とすることが多いようです。

発行する株式の数について

株式会社は、発行できる株式の数に、上限がありません。

また、会社設立時に、すべての株式を発行する必要もなく、出資に見合うだけを発行すればいいことになっています。

この点、株式会社は、発行できる株式の総数(上限)を決めなければいけないことになっています。また、この総数(上限)を定款に記載し、登記することになっています。

この株式会社が発行できる株式の総数(上限)のことを「発行可能株式総数」といいます。

先述したとおり、株式会社は、株主の発行数に上限がありませんが、本当に上限がない場合、際限なく株式を発行できることになってしまい、発行済みの株式の価値が低下し、株主に不利益を与えてしまうおそれがあります。

このため、株式会社は、発行可能株式総数を定めることで、自ら発行上限を設けることになっています。また、登記することによって、その総数を公にすることにもなっています。

加えて、発行可能株式総数は、定款の記載事項となっているので、それを変更する場合には、株主総会で定款の変更手続きが必要になります。株主保護のため、容易には変更できない仕組みになっています。

ここで説明している”発行できる株式の数に上限がない株式会社”は、非公開会社のみ該当します。

公開会社は、発行済の株式総数の4倍が、発行できる株式の上限となります。
(公開会社は、株式の流動性が高く、より多くの株主が関与することが想定されるため、株主保護のために、発行上限が明確に定められています)

非公開会社と公開会社については、次項で後述します。

株式の譲渡制限について

株式会社の株式は、自由に譲渡できます。

株式の譲渡は、その株式会社の株主としての権利を、他社に譲り渡すことを意味します。

株式を譲り受けた者は、その株式会社の新たな株主となりますが、場合によっては、会社の経営に悪影響を及ぼすことも考えられます。

また、ある者が、株式を大量に集めて、大株主になることで、会社を支配する可能性もあります。

そこで、中小企業など、株式の発行数や発行総額が少ない会社では、株式の譲渡に制限を加えていることがあります。

定款で、株式の譲渡制限について定めることで、会社が許可した者にのみ、株式の譲渡を認めることができます。

このように、すべての株式に譲渡制限の規定を定めている株式会社を「非公開会社(譲渡制限会社)」といいます。
なお、それ以外の(株式の一部のみ譲渡制限したり、まったく譲渡制限がない)会社を「公開会社」といいます。

非公開会社では、株式の譲渡が制限されるので、企業経営が比較的安定します。

余談ですが、そのほかの非公開会社の特徴として、役員の任期を伸ばすことができたり、取締役会の設置が任意になったりと、経営の簡素化が図れます。

まとめ

この記事のまとめ

株式を発行する際には、次の点に留意してください。

①1株あたりの単価について、制限はなく、自由に設定できます。
 ただし、単価の額によっては、資金調達や、株主構成に影響を与えることがあります。
 単価が高い → 資金調達しづらい。特定の株主が影響にあたえる影響大
 単価が低い → 資金調達しやすい。株主の増加で会社の意思決定が混乱しがち  

②株式会社が発行できる株式の数は、上限はありません。
 ただし、株式の希薄化を予防するため、発行可能株式総数を定める必要があります。

③株式会社の株式は、自由に譲渡できます。
 ただし、非公開会社では、株式構成の変化による経営への悪影響を予防するため、株式譲渡を定款で制限できます。

この記事を書いた人
行政書士上田

法務省、内閣官房、復興庁での勤務を経て、行政書士・社会福祉士として開業。 14年間、公務員として福祉分野などに関わってきた経験を生かして、許認可申請と生活相談を専門とした行政書士・社会福祉士として、お客様の事業や生活を支援しています。

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