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事業年度や決算期の決め方について

会社設立

会社にとって、その事業の期間を年単位で区切ったものを「事業年度」といいます。

また、事業年度の終期を「決算」といいます。
決算では、その会社の事業年度における売上や経費を計算し、利益や損失を確定させます。

会社は、暦年のうち、事業年度をいつからいつまでにするのか、自由に決めることができます。

この記事では、事業年度や決算期を決める際の留意点について、説明します。

事業年度や決算期を決める際の留意点

事業年度は、その終わりに決算があります。

事業年度を決めるにあたっては、業務繁忙期や、資金繰りのタイミングなどを踏まえながら、決算期を決めることが考えられます。

また、事業開始の初年度と次年度は、消費税の免除についても意識する必要があります。

決算期と繁忙期

決算期をどこに置くか、という観点から、事業年度を決める方法があります。

会社は、事業年度の終了の日の翌日から2か月以内に、税務申告・納税をする必要があります。

この決算から納税までの作業と、事業の繁忙期とが重ならないように、事業年度を設定することが考えられます。

資金繰り

大きな支出が見込まれたり、収入が落ち込んだりするタイミングと、決算期が重ならないように、事業年度を決めることも方法です。

例えば、決算後の納税や、社員に対するボーナスの支給、業種によって決まって売上が減少する時期などです。

消費税の免除

会社は、設立初年度は、資本金が1,000万円未満であれば、消費税の納税義務が免除されます。

また、その次の事業年度では、資本金が1,000万円未満で、次の条件にいずれかに当てはまる場合に、消費税の納税義務が免除されます。

①前事業年度の開始から6か月間の課税売上高が1,000万円以下
②前事業年度の開始から6か月間の給与支払額の合計額が1,000万円以下
③設立1期目が7か月以下

したがって、その次の事業年度が、①または②に当てはまる場合は、設立初年度を長くしたほうが、納税義務の免除期間が長くなり、有利になります。

他方、①と②に当てはまらない場合は、③に当てはまるようにするために、設立初年度の事業年度を7か月以下とすることで、その次の事業年度の納税義務を免除できるので、有利になります。

なお、設立当初から資本金が1,000万円以上ある会社は、設立初年度から消費税の納税義務があるので、設立初年度も次年度も、消費税を納税することになります。

定款の記載について

事業年度については、定款の任意的記載事項とされています。
よって、事業年度を定款に記載するかどうかは自由です。

定款に記載する場合、事業年度を定款によって公にすることにより、対外的に見て事業年度が明確でわかりやすいというメリットがあります。他方、事業年度を変更する際には、株主総会で定款変更の議決が必要となり、手間がかかるというデメリットがあります。

決算公告について

公告とは、広告や告知などで、一般に広く周知することをいいます。

会社は、決算について、定時株主総会の終了後、遅滞なく公告しなければいけません。(会社法第440条)

また、公告方法について、次の3種類から定款に定めることとされています。(会社法第939条)

①官報に掲載する方法
 官報とは、独立行政法人国立印刷局が発行する政府の機関誌です。
 掲載費用が安く、広く用いられています。

②時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
 いわゆる新聞広告のことです。全国紙でも地方紙でも構いません。

③電子公告
 法務省が定める電子公告制度による方法です。
 電子公告は、自社のホームページ上などで公告を掲載できます。
 電子公告の掲載は、定時株主総会終結時から5年間、継続して行う必要があります。

電子公告についての余談として、決算公告を電子公告として掲載する場合は不要な手続きですが、その他の事項について、公告を官報や日刊新聞紙に掲載した場合には、公告が掲載された印刷物が客観的な証拠資料となるのに対し、電子公告に掲載した場合は、電子公告を客観的な証拠資料として用いる場合には、適正に公告がなされたという旨の電子公告調査機関による調査結果が必要になります。よって、決算公告以外の電子公告は、あまり用いられていません。

まとめ

この記事のまとめ

事業年度や決算期を決めるときの留意点は次のとおりです。
①決算期と繁忙期が重ならないようにする。
②決算期が大きな支出や収入の落ち込みと重ならないようにする。
③開業初年度と次年度について消費税が免税になるようにする。

事業年度を定款に記載するかは自由です。
定款に記載する場合、事業年度の変更には、株主総会で定款変更の決議が必要となります。

会社の決算は、次の3種類のいずれかで、公告しなければいけません。
①官報
②日刊新聞紙
③電子公告

この記事を書いた人
行政書士上田

法務省、内閣官房、復興庁での勤務を経て、行政書士・社会福祉士として開業。 14年間、公務員として福祉分野などに関わってきた経験を生かして、許認可申請と生活相談を専門とした行政書士・社会福祉士として、お客様の事業や生活を支援しています。

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